横浜市域では保土ケ谷区内でのみ自生が確認されている植物がある。絶滅危惧植物「カザグルマ」。かつては日本各地で見られた花だが、開発による環境の変化などにより、自生地は年々減少傾向にあり、区内でも「見守り活動」が続いている。
カザグルマは、キンポウゲ科のクレマチスの原種にあたる植物。県内では相模原市内と区内川島町の学校橋駐輪場脇、田んぼ「ほどがや☆元気村」に沿う山裾、環状2号線の谷のみ自生が確認されている貴重な花だ。
10年前から自生地周辺で環境保全活動を行う「陣ケ下自然愛好会」の角南義治さん(83)は「50年前は、帷子川の川沿いの斜面に今よりも広範囲で咲いていた」という。
川の改修や環状2号線の建設、民地の開発工事により環境が変化したことに加え、自生地が減少要因として考えられるのが「除草」。カザグルマが開花する5月上旬から中旬を過ぎると、苗は雑草と見分けがつかなくなり、除草の際に刈り取られてしまうケースが多いという。また、花を一目見ようと足を運んだ人が苗の存在に気付かず、自生地を踏み荒らしてしまっていることもある。
「持ち去らないで」
さらに近年、その珍しさから一部の園芸愛好家が苗を引き抜き、持ち帰ることもあるという。一度引き抜いた場所から再び自生することは難しく、区内でもわずか3カ所しかない自生地をさらに狭めてしまう恐れがある。
角南さんらは「条件が揃わなければすぐに枯れて消滅してしまうので、持ち去らずに自生地でそっと見守っていただければ」と呼びかけている。
過保護にするのではなく
自生地は減少傾向にあるが「絶滅危惧種だからと過保護にするのではなく、あくまでも自然の力で生きていけるよう環境を整える」。これが愛好会のスタンスだ。定期的に自生地の手入れをするほか、雑草との見分けがつくよう、苗に印を付け、株周りを除草するなどし、自生地を守る活動を続けている。
角南さんは「カザグルマは環境の変化を教える指示植物。自然の変化を私たちに警鐘してくれている貴重な存在。簡単に環境の変化を止めることはできない。だからこそ、できる限り後世に残していけるよう、近隣の方々とコミュニケーションを図り、除草や観察などの活動を通して皆で見守っていきたい」と話している。
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