9月7日に八幡台集会所で防災講演会で講師を務めた 伊東 博さん 東大竹在住 62歳
「日頃の備え」訴える
○…下大竹自治会が開いた防災講演に地域から予想を超す137人が集まった。「東日本大震災の概要と今後想定される神奈川の地震」をテーマに語ることおよそ1時間。東海地震や神奈川県西部地震が発生した際の被害想定なども紹介し、警戒を呼びかけた。温泉地学研究所で身につけた知識をもとにしたこの講演。「あの震災を忘れてはだめ。日ごろから備えを」。一番訴えたいのはそこだ。
○…小田原市入生田にある温泉地学研究所は、地震や火山観測、温泉調査などを行う県の機関。市内日向など17地点の地震計を管理し、分析データを横浜地方気象台などに送る。所員として40年勤めこの春退職。多忙な毎日から少し解放され、4月には下大竹自治会の役員を引き受けた。役員メンバーから防災講演を頼まれたのはそのすぐ後。これまでほとんど自治会活動に参加できなかった後悔もあり、「少しでも貢献できれば」と引き受けた。
○…平塚生まれ。子どものころはスポーツが好きで、小中学生のころは毎日泥だらけになって野球をした。また、オートバイや無線など機械にも関心があり、工業高校に進んだ。転機は22歳の時。当時は、温泉地学研究所の所員が地震観測に必要な機器を手作りしていた時代。機械に詳しい人材が求められていたこともあり、「ここなら自分を生かせる」と考え進路を決めた。27歳の時、研究所の臨時職員だった妻と結婚。このころ伊勢原に移り住み、現在は母と次女を加えた4人で暮らしている。
○…趣味はツーリング。大好きなバイクで箱根を走り、何度も分析した温泉に浸かって心身を癒すのが今の楽しみ。夢はバイクで日本一周だ。「定年後の人生は自分へのご褒美。必ず実現したい」と意気込む。一方、「地域のためなら続けたい」と今後の講演にも意欲的。趣味や自治会活動で研究員時代よりも時間がないそう。充実した毎日が満面の笑みから伝わってきた。