伊勢原 人物風土記
公開日:2016.03.11
絵本作家であり、大山の夢心亭でおもちゃの展示を行っている
米山 永一さん
高森台在住 62歳
夢追い描き続ける
○…「米山ミュージアム」との異名を持つ自宅には、収集した人形やおもちゃ3千体以上が所狭しと並んでいる。そのうち約2百体が、3月27日まで大山の豆腐料理店・夢心亭にある「大山現代の美術館」で展示されている。敷き詰められた西洋人形を眺め、「和の空間に西洋のものを飾ってみたけど違和感がない」と充実感を漂わせる。収集歴は50余年。「趣味というよりは癖なんだ」と朗らかに笑う。
○…生まれは川崎市。親からもらったミッキーマウスの可愛さに心打たれ、顔かたちに惚れ込んだ人形を集めはじめた。10歳の頃には、銀行の預金特典である人形型貯金箱を欲するように。川崎駅周辺の全支店に頼んで回りコンプリートした。収集品はテディベアなど西洋のものが中心だが、特に趣味でもあるアコーディオンの人形には目がない。その数およそ1800体。「全部ときめいたものだから、断捨離ができないんだ」
○…幼少期から好きだった絵描きを生業にすべく、武蔵野美術大学へ進学し商業デザインを学んだ。教授の勧めで、人気番組「ひらけ!ポンキッキ」の教育コーナーの映像制作を20歳にして担当。子どもを相手とする仕事に喜びを見出し、絵本作家を志すようになった。勤め先も少なく競争の激しい絵描きの世界。将来に不安を抱えながらも、毎日3時間睡眠でイラスト制作に明け暮れた。40歳で念願だった処女作『ぼくのくじらピアノ』を出版。「中身は子どものままでいたから夢が叶えられたのかな」と嬉しそうに振り返る。
○…人形作家でアコーディオン奏者の妻とは息ぴったり。お互い好きな人形収集のため、時折イタリアへ足を運ぶ。地域行事に招かれ、夫婦で演奏することも。そんなおしどり夫婦の特技を活かし、演奏と手作り紙芝居を組み合わせたミニシアターの実現をめざしている。「いつか小児病棟で小さな劇場を開きたい」。思い描いた夢は、必ず子どもに届けると誓った。
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