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伊勢原 コラム

公開日:2019.05.24

あっという間の10年

 今 新玉ねぎが美味しいよと言われて取り出してみた。天地を切って細かく切り、茶碗にご飯半分そして玉葱どっさり。卵黄一個。鰹節を山盛り。濃い口醤油。毎朝食べている。「うっまい!」。



 毎週一度来る理学療法士さんに話したら「えっ、相原さん自分で切ったの 凄い事だよ」。「あっそうなの」と言いながら思い出してみた。10年前右半身は何も動かず世の中は両手が動いて初めて生活できる事を知った。朝食くらい私が作って家族に食べさせようと思っていた。それが出来たのです。



 脳梗塞で倒れる前、手紙はすべて毛筆だった。もう二度と字は書けないと覚悟していた。ワープロの字では、心は伝わらない。大事な人に手紙を出したい。思い切ってA4のコピー用紙を出した。愛用だった万年筆を右手に持たせ、身体の全神経を使い「う〜ん」と全力で書いた。なんとか手紙を送れた。―こんなうれしい事はない。これは1カ月前の事でした。



 私の一番大切な趣味はお茶です。同時に花を活ける事。左手だけで花瓶に活ける事はごく難しいのです。夏など大汗で1時間以上かかる。でも少しコツを覚えました。右手が少し動くようになり両手で鋸を挽けるようになりました。ここまで10年かかりました。――あっという間の10年でした。

 

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