Jリーグが曺貴裁(チョウキジェ)監督による選手やスタッフへのパワハラ行為を認める調査結果を公表したことを受け、湘南ベルマーレは10月8日、同監督の退任を発表した。眞壁潔会長や水谷尚人社長らクラブ幹部の処分も決定した。
同監督を巡っては、Jリーグが4日、同監督が選手やスタッフに対し精神的に苦痛を伴う行為を繰り返していたとの調査結果を発表。監督に公式戦5試合出場停止とけん責処分を科し、クラブには制裁金200万円とけん責処分を下した。
ベルマーレは同日に記者会見を開き、眞壁会長と水谷社長、活動自粛中の曺監督も急遽同席。憔悴した表情で登壇した曺監督は「裁定を真摯に受け止めるだけではなく、受け手側に想いを馳せて行動しなければいけない」と謝罪。「全身全霊をかけて内省を深めて自分が犯した事象に向き合い、乗り越える努力をしていきたい」と述べていた。
会見で今後検討するとしていた監督の去就について、ベルマーレは8日、監督退任とクラブ幹部の処分を発表した。水谷社長と坂本紘司スポーツダイレクターが3カ月間の50%減給、無報酬の眞壁会長は水谷社長と同額を一般社団法人リングスマイルに寄付する。
眞壁会長は記者発表文書で「クラブとしての責任を重く受け止めるとともに、二度とこのような事態に陥らないために再発防止に努めて参ります」と謝罪。
曺監督に対しては「湘南スタイルを築き、有形無形の財産を残していただき心より感謝しております」と苦楽を共にした盟友への思いを語った。
曺監督も「選手、スタッフ、サポーター、スポンサー、株主の皆様、トップチームを夢見る子供たちに御礼を申し上げ、このような形での退任となりましたことを心よりお詫び申し上げます」とコメントを寄せた。
再発防止に向け、ベルマーレはゼネラルマネージャー(GM)職の設置、第三者で構成する外部相談窓口の設置、フロントスタッフを含んだコンプライアンス研修の実施、基準作りなど4つの取り組みを発表している。
曺監督は2005年に湘南ベルマーレのジュニアユース監督に就任、ユース監督やトップチームヘッドコーチを経て、12年から監督として指揮。J1昇格を3度果たすなど激動期のチームをけん引し、18年にはルヴァンカップ優勝に導いた。
新監督に浮嶋敏氏
湘南ベルマーレは10日、トップチーム監督に浮嶋敏(びん)氏(52)=写真=の就任を発表した。チームは同日、新監督体制のもとで初トレーニングを行った。
浮嶋氏は日産FCファームや富士通サッカー部などで選手としてプレーし、引退後は県立新城高校サッカー部や横浜FCジュニアユース監督を歴任。2011年に湘南ベルマーレのトップチームコーチを2シーズン務め、13年から育成部門の監督とダイレクターを兼務していた。
チームが現在、J1リーグで15位に低迷する中、浮嶋監督は記者発表文書で「これまで築き上げてきたサッカーを大切にし、湘南スタイルに磨きをかけて、応援して下さる皆さんと共に前進していきたい」とのコメントを寄せた。
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