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公開日:2022.12.16

伊勢原警察署
マイスター制度を導入
特殊詐欺被害防止に活路

  • マイスターに認定された松村さん(右)と小下署長

 伊勢原警察署(小下光一署長)がこのほど、振り込め詐欺など特殊詐欺の被害防止活動を市民自らが行うことを目的に「私たちはだまされませんマイスター」認証制度を開始。12月9日には認定証交付式が同署で行われ、市内桜台在住の松村和昭さん(78)に認定証が手渡された。

 同制度は特殊詐欺を見抜き、通報した市民の中から、その知識・経験に基づいた被害防止対策を近隣の高齢者の人たちに指南してもらい、地域住民に特殊詐欺が身近に起きるものであることなどを知ってもらうのが狙い。今回認定された松村さんは地区で民生委員・児童委員として活動。「大変なことになったと驚いている。自分の立場から多くの人に振り込め詐欺のことを伝え、少しでも被害が減るように考えていきたい」と意気込みを語った。

 同署生活安全課によれば、同様の取り組みとして、県内では神奈川署で詐欺アドバイザー制度を導入しているが「マイスター制度」は伊勢原署が初の取り組みだという。

市役所職員を騙る詐欺電話

 松村さんが自宅で詐欺電話を受けたのは10月21日の夕方。伊勢原市役所の職員を名乗る男から「医療費を返す」との電話があったという。その際電話機のディスプレーに表示された番号が「03」だったことから不審に思い、「医療費の返還を代行するので銀行を教えて」と言われ、すぐに詐欺だと気づき「遠慮します」と毅然とした態度で電話を切った後、警察に通報した。松村さんは「市役所の職員にしては東京の番号だったのでおかしいと思った。お金の話が出てすぐに詐欺だとわかった」と実際の電話のやり取りを記したメモを見ながら振り返った。

 小下署長は「お手本のような行動」と松村さんの対応を称え「特殊詐欺を防ぐには、慌てず一呼吸おくことが大事になる。警察からの発信に加え、身近で実際に詐欺を防いだ人が詐欺防止の指南役になれば、効果が大きいと思う。機会があるごとに周知をしてほしい」と特殊詐欺撲滅への協力を呼び掛けた。

 同署生活安全課によれば12月5日現在、市内で起きた特殊詐欺の被害は、わかっているだけで10件、約1900万円にのぼる。同署では「留守番電話を設定し、お金の話が出たら詐欺を疑ってほしい」と注意を呼び掛けている。

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