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公開日:2025.07.11

大山こま
技術継承に一歩前進
若手市民有志が担い手に

  • 技術指導する金子さん(右)と若手有志の青木さん(そんぽの家伊勢原で)

 伊勢原市の代表的な伝統工芸品である「大山こまの製作技術」を後世につなげようと、昨年夏から活動を始めた市民の若手有志がいる。大山こまの唯一の作り手である金子吉延さん(金子屋)らからの指導を受け、このほど行政センターで行われた「第3回大山こまフェスティバル」での販売にこぎつけた。

 江戸時代から続く大山詣りを代表する土産品の大山こま。その製作技術は市指定文化財となっており、日本遺産「大山詣り」の構成文化財、さらには国の「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に選択されている。しかし技術保持者の相次ぐ他界や高齢化による廃業などで、その存続が危惧されている。

 近年では同フェスティバルの開催や伊勢原青年会議所による道灌まつりでのこま大会など、大山こまの魅力を広めようという機運が高まってきてはいるものの、物価高騰による原材料費の上昇なども影響し、新たな製作の担い手が見つからないという状況が続く。

愛知県で修行

 若手有志は同会議所OBを中心にした6人。旋盤の刃物の扱い方など基礎を学ぶために、愛知県志賀市に昨年8月と10月に2回、修行に出た。有志が作業する旋盤がないことから、いせはらうまいもの遺産創造委員会の補助金で、大山こま製作技術保存会に寄贈された旋盤を活用。大山こまをかつて製作していた播磨屋の工場を借りて、年明けから週1、2回程度の練習を重ねてきた。

 有志メンバーに塗装業の従事者がいることから、塗料をより大山こまに近い色を出すことに成功。ここまでは4センチ前後のミニこま10個ほどの製作にとどまるが、金子さんも認めたこまが完成した。

 メンバーの一人である青木孝幸さん(42)は「販売できるものとして金子さんに認めてもらえたことが一番うれしい。大山こまの独特な個性を再現できたことが自信にもなった。まだ本来の心棒が刺さったこまの製作はできていないが、練習を重ね、よく回るこまを作れるようにしたい」と話す。

 メンバーらは大山こまの技術継承の一環として、そんぽの家伊勢原や桜台小学校などで、こま回しやこまの色付け体験会などを実施。青木さんは「私たちが練習で削ったこまを子どもたちが喜んで色付けしてくれた姿をみて、伊勢原からこまを途絶えさせてはいけないと強く感じた。多くの方にご協力いただきここまで来られたことに感謝でいっぱい」と語った。

 大山こまは心棒が太く安定感のあるどっしりとした形と紺、赤、緑などで色彩豊かに彩られたろくろ模様が特長。かながわの名産100選のひとつに選ばれている。

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