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公開日:2026.02.13
50年越しのひな人形
地域の手で成瀬小へ
半世紀もの間、眠り続けていた「ひな人形」が、地域住民の手によってよみがえった。伊勢原市立成瀬小学校(須永尚世校長)に地域住民らが約7カ月かけて制作した「木目込(きめこみ)ひな人形」が展示されている。亡き母が娘のために用意していた未完成のキットが、地域の絆を結び、児童たちの成長を見守るシンボルとして生まれ変わった。
きっかけは昨年5月、厚木市在住の山崎(旧姓・磯部)美子さんが、秦野市鶴巻にある実家の遺品整理を行っていたことだった。天袋から見つかったのは、2年前に他界した母・磯部洋子さんが、美子さんと妹のために用意していた木目込人形の材料だった。
「50年ほど天袋にあったのは知っていたが、捨てられず悩んでいた」という。伊勢原市内で働く妹を通じて市社会福祉協議会に相談したところ、成瀬小学校区で活動する地域学校協働活動推進員の石塚京子さんにつながった。相談を受けた須永校長も「地域の方が学校を拠点に活動するのは素晴らしいこと」と快諾し、学校を舞台にしたプロジェクトが始動した。
「設計図なし」の手探り作業
制作は昨年7月から、同校のPTA会議室を拠点にスタート。しかし、箱の中には手順書が入っておらず、「どうやって作ればいいのか」と戸惑う状態だったという。地域住民やグリーンボランティア、民生委員・児童委員など20人以上が協力。人形制作の経験者や木目込人形の有資格者らの指導を仰ぎながら、試行錯誤を重ねた。
参加者たちは、手探りながらも桐塑(桐の木粉に糊を混ぜた粘土材料)の溝に布をヘラで押し込む繊細な作業に没頭。首が抜けないよう工夫したりと、知恵を出し合った。さらに、ひな壇も手作りし、15体の人形が並ぶ立派な5段飾りが完成した。石塚さんは「地域の方が活動に参加したり、児童たちも様子をのぞきに来るなど、交流の場にもなったことがよかった」と話す。
完成した人形を見て、寄贈者の美子さんは「母も喜んでいると思う。皆さんの力で人形の形にしていただき、ありがたい」と涙ぐんだ。須永校長は「まさかこれほど素敵なものができるとは。毎年飾っていきたい」と感謝を述べた。この「木目込ひな人形」は、3月19日(木)の卒業式まで、成瀬小学校の玄関ホールに展示され、児童たちの登下校を出迎える予定だ。
木目込人形とは、桐塑や木の原型に溝を入れ、布地をヘラで入り込ませて着せ付ける人形。
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