愛川舜寿会の経営企画室室長を務める 馬場 拓也さん 愛川町角田在住 39歳
介護の世界に新風を
○…全国20の社会福祉法人が共同で立ち上げた「介護男子スタディーズプロジェクト」のリーダーを務める。9月1日には介護施設で働く男性にスポットを当てた「介護男子スタディーズ」を出版。ファッショナブルなグラビアムックかと思いきや、プロの写真家が映すリアルな現場の写真を見た瞬間、この一冊に込めたプロジェクトの想いが伝わる。「優しさ、創造性、奥深さ…。介護という仕事の本質を感じてほしい」と身を乗り出す。
○…書籍に登場する若者たちの表情は、責任感と矜持に満ちている。意図的に演出された写真では決して出せない表情をとらえた作品は介護の世界を新たな視点で語る。「介護は社会問題の中核と言える重要な仕事。若者だけでなく、その周りの大人たちにも、介護が持つ多面的な部分を知ってほしい」と熱を込める。
○…斬新なアプローチで業界に一石を投じた書籍はテレビをはじめ多くのメディアでも取り上げられた。介護の現場にイノベーションを起こすためにスタートした同プロジェクト。書籍は第一歩に過ぎない。都内でのトークセッションや大学での出張講義など多忙な日々は続く。「作って終わりではなく、むしろこれから。じわじわと広げていけたら」。業界を変える新風は、吹き始めたばかりだ。
○…生まれは愛川町角田。幼少の頃から野球少年で、山梨県の東海大甲府高校進学とともに一度は愛川を離れた。大学卒業後は都内でアパレル業界に就職。華やかな世界でトップセールスマンとして活躍したが、30代に入ると自身のなかで「価値観の変化」が起こる。「地域に貢献できる仕事」として、父が理事長を務める愛川舜寿会に。介護の世界に飛び込んで5年。今では「クリエイティブで奥深い」介護の業界で経営企画室室長を務める。両親と夫人、3歳の双子の息子の6人家族。「子どもの姿を見ると、疲れも吹っ飛ぶよ」。満面の笑みに、家族愛が溢れる。