中津公民館で陶芸教室の講師を務める 太田 学さん 愛川町中津在住 43歳
「とことん」こだわる
○…中津公民館での陶芸教室や、県立あいかわ公園工芸工房村で長年陶芸の指導に携わっている。4年ほど前から、同館では夏休みに子ども向けの陶芸教室も行っている。「やる気がある子は本当に楽しんでくれるし、伸びる」とにこやか。自身が初めて陶芸に触れたのも小学校3年生の時だった。真剣な眼差しで土と向き合う子どもたちの姿は、思い出に重なる。
○…相模原市で生まれ、小学2年で愛川町へ。犬の散歩がてら見かけたカルチャースクールのポスターを見て、軽い気持ちで第一歩を踏み出した。この時講師として出会ったのが、今も師と仰ぐ長谷川雅一氏。教室での指導方針は「器一つに1カ月かけた」という。全体のバランスから細かいところまで、とことんこだわって、納得いくまで手直しして作品を作り上げる。込められたこだわりと想いの強さが、一つの器を芸術作品に昇華させる。
○…師と同じ京都嵯峨美術短期大学を卒業し、陶芸の素材を扱う会社に就職。人脈を広げ、八菅山に太黒窯を開いた。信楽陶芸展や日本新工芸展など多数の入選を重ね、自身の門下生は最大で100人以上になったことも。「とことんこだわる」作品づくりへの姿勢はしっかりと受け継がれ、生徒も一つの作品に数カ月かけることは珍しくない。「完成の姿をしっかり思い描くことをいつも言っている」と眼差しに力を込める。作りたいと思ったものは自由にやらせる。「どうやったらできるか、まず自分で考えさせる」。自身も「普通の器より造形作品が好き」と遊び心は忘れない。
○…現在は自宅と工房を中津に移し、中津川のせせらぎを聞きながら作品づくりを続ける。リフレッシュはドライブ。昔から車好きで、5台目となる今の愛車は日本で数台しかない特別仕様のアバルト。以前は「気が向いたらふらっと京都まで」の気ままな旅もできたが、「最近は忙しくて」と少しご無沙汰だ。