心理カウンセラーとして愛川高校で講演した 川勾 秀彦さん 愛川町中津出身 48歳
今は恩返しの日々
○…近年は小学生が「生活に疲れている」と言うほど、大人から子どもまで心の疲弊が浮き彫りになっている。講演では「自分の心を大切にしよう」と優しく呼びかけた。「環境にくじけるのではなく、どんな役割、立場でも『今の自分にしかできないこと』と思えばまっすぐ向き合える」。目をそらしたくなる短所を長所に。難しいようだが、全ては心ひとつで変わる。
○…川崎市で生まれ、10歳で中津へ。中津第二小、愛川東中と幼少期を過ごし、愛川高校の第1期生として入学。「校舎も机もピカピカ。そして、新しい学校を作っていくんだという情熱あふれる先生たち。充実した3年間でした」。当時の高揚感に言葉にも熱がこもる。良き出会いに触発され、東海大学進学後に教師の道を志したが、教員試験に4回落ち、27歳で教師に。
○…愛川東中や厚木市の睦合中など、教員経験は約20年。生徒指導や進路指導など様々な役割で奔走したが、抱える仕事の多さから壁にぶつかり、念願の職業だったが退職することに。疲れた心と体のまま、この先どうしたらいいかわからず悶々とする毎日。偶然広告で見かけた心理カウンセラーの学校に通ったことで、新たな道が開けた。「自分も救われたし、挫折や悩んだ経験がいかせる仕事でもあった」と語る。今年4月からは、市ヶ尾高校のキャリアサポーターとして、進路の悩みにこたえる。「生徒、先生、保護者の悩みを解消してあげることは、途中で教師を退職してしまった私にとって、教育業界への恩返し。ゆくゆくはカウンセリングルームを立ち上げたい」と夢を掲げる。
○…京都や北海道、沖縄など、夫人との国内旅行が一番の楽しみ。「私がどん底でネガティブだった時にも、『これからどうするの』みたいなプレッシャーをかける言葉は一度もありませんでした。それが、今となってはとてもありがたかった。本当に感謝ですね」と柔和にほほ笑む。