キックボクシングNJKFスーパーフェザー級日本チャンピオンの座に就いた 沼崎 琢磨さん 愛川町中津出身 24歳
常に挑戦者であれ
○…2月19日、格闘技の聖地、後楽園ホール。勝利の喜びに、涙が止まらなかった。蹴りやひじ打ちなども使われるキックボクシング。戦いは壮絶を極め、試合後の瞼ははれあがり「下がかろうじて見える」ほどに。それでも「一つの目標が形になった。人生でこれほど嬉しかったことはありません」と晴れやかな笑顔。
○…挑戦者として臨んだ日本タイトルマッチ。試合前、自身の勝利を予想する声は少なかった。違う階級で辛酸をなめた相手に「技術ではかなわない。打撃で勝負」と決めていた。道のりは平坦ではなかった。大きなケガで2年間のブランク。昨年復帰戦を勝利したが、日本タイトル2カ月前には仕事中に右手を負傷。右が打てるようになったのは、試合1週間前だった。拳が使えない日々はメンタルトレーニングで徹底的に自己の内面に向き合った。「リラックスしながら闘争心を保つとてもいい状態で臨めた。あのケガがなかったら、勝てなかったかもしれません」と振り返る。
○…中津小、愛川東中と地元で育った。野球少年で、中学時代は愛甲リトルシニアで外野手だった。光明学園相模原高校でも野球部に入ったが、1年の冬に退部。「あの頃の自分は遊んでばかりで」と苦笑する。部を退いたものの、同世代の皆が情熱を注ぐ姿に、自分も新たな夢を探す。好きだった格闘技の道を志し、高校3年でキックボクシングの門を叩く。19歳でプロデビュー。現在は東京町田金子ジムに所属し週6日の練習に励む。「自分よりも強い相手に勝つ」が競技者としての目標。「常に挑戦者でありたい。そして、支えてくれる人たちに、感動と興奮を与えられる存在になりたい」と、前を見据える。
○…食べるのが大好き。練習中の休憩では、グルメ情報をチェックするのが定番だ。地元愛川町でのお気に入りは「ケーキなら『ラミエット』さん、オムライスなら『ラピュタ』さんですね」と満面の笑み。