水源地跡地の花見イベントで「かっぽれ」などを披露する 市川 直久さん 愛川町角田在住 67歳
道楽者だけど商売熱心
○…4月8日の花見イベントでは、陽気な音楽と滑稽な踊りの伝統芸能「かっぽれ」や、オリジナル曲「半原山に陽は落ちて」「日向橋から」などを披露する。「皆様に楽しんでもらえるように曲順を考えています」と、本番が待ち遠しい。出演依頼には二つ返事で快諾。「喜んでもらえるならどこへでも行きますよ」と、いつでもエネルギッシュだ。
○…生まれは町田市。14歳で両親とともに愛川へ。厚木高校卒業後は厚木市の文具関連の会社で勤務した後、家業の「文房具のたまのや」へ。扱うのは主に文具だが、釣具や模型など、時流に合った商品を積極的に取り入れてきた。「これは両親から受け継いだ商売の方針。自分が面白いと思ったものを売る方が、お客さんも喜んでくれる」と笑顔。「何で文房具屋で菓子を売っているんだ」と笑う同業者もいたが、小売店に厳しい時代でも多くの来店者があるのは、店舗に魅力があるからこそ。
○…「お店、お客様、問屋さんの3者が等しく喜ぶこと、『三者鼎立』が大切」と表情を引き締める。堅苦しい「社長」よりも、気さくな「店長」の肩書が好み。「若い頃は何もわかっていなかった。いろいろなことを問屋さんに教えてもらった」と目を細める。「商売はこうあるべき、という固定観念に囚われていたけれど、教わることで、むしろ自由になれた」。心が解き放たれてから、商売の面白さに惹きつけられた。
○…「あなたには華があるから、やってみなさい」と、偶然来店した師匠から勧められて始めたかっぽれは約10年。歌は20代の頃から、近年は久しぶりに絵筆をとり、山梨墨画院展では初出品ながら審査員特別賞を受賞した。自宅兼店舗を利用したライブなど、多才ゆえに活動の幅も広い。今後は、今までの集大成である「和風エンターテイメントショー」の構想が進んでいる。「観るのも楽しいけれど、自分でやる方が面白い」。満面の笑みは、少年のように輝く。