田代区婦人消防クラブの代表を務める 荻田 春代さん 愛川町田代在住 70歳
防災に女性の目線
○…愛川町の自主防災組織としては初となる日本消防協会定例表彰「優良婦人消防隊」を受賞した。クラブ設立から21年目、長年の活動が評価され「とても嬉しい」と目を細めるが、「皆さんと一生懸命やってきたからこそ、私は取りまとめをやってきただけ」と、あくまで謙虚だ。
○…メンバーは12人。全員主婦だが、「パートなどでお勤めの方も多いので、活動は『無理のないように』が大切」と語る。新年の消防出初め式に始まり、文化財保護デーや総合訓練などのほか、クラブ独自の訓練もあるが、主婦同士「お互いのことがよくわかる」からこその気遣いで、円満な運営が続いている。10年以上のメンバーも多く、訓練の出席率も高い。「皆さんの意見をよく聞いて、やりやすいように」という舵取り役としての手腕が光る。
○…半原生まれ、実家は撚糸業で、地元育ちの生粋の愛川っ子だ。クラブには設立間もない頃に声を掛けられて入会。「軽い気持ちだったんだけれど、いつの間にか20年も続いちゃって」と笑う。近年は全国的に自然災害が増加し、被害が大規模化する傾向がある。「東日本大震災は、本当に大きな出来事でした。災害が他人事ではないことを再認識しました」と振り返る。クラブは避難所運営に関連する委員会にも所属し、災害に備え女性目線でのアドバイスも行う。女性ならではの悩みへの対応や、男性が見過ごしてしまうような細かい気配りが大きな力になる。「いろいろな意見を取り入れていただけているんです」とほほ笑む。
○…3人の息子は独立し、夫と2人暮らし。長男と次男は会社員だが、3男は冒険家の荻田泰永氏。「冒険に出る時はやっぱり心配。健康が一番」と親心をのぞかせる。趣味は10年以上続く和紙細工。米粒よりも小さな紙片を組み合わせた作品は見事の一言。「5月に飾る冑飾りがついこの間完成したんです」と、満面の笑みで声を弾ませる。