小田原市と下郡3町を管轄する小田原警察署管内で手渡しや振り込みによる詐欺被害が多発している。同署をはじめ金融機関、関係団体では詐欺被害撲滅へ向け、さまざまな対策を講じている。
「電話でお金の話があったらまず詐欺」と声を大にして注意を呼びかけるのは、同署の小林俊之生活安全課長。昨年1年間の被害は27件、2億1500万円で、茅ヶ崎に次ぐワースト2位だった。
今年に入ると、状況はさらに悪化。3月26日時点で被害件数はすでに20件、9250万円と、すでに昨年1年間に迫る数字で県内ワースト。3月に小田原署管内で1件約1900万円の被害が明らかになるなど、事態は深刻だ。
息子、孫を語る人物は泣いたふりをしながら「小切手をなくした」「携帯電話が変わった」「会社の金を使い込んだ」「鞄をなくした」と語る巧みな手口で、近隣の駅や自宅で金銭を渡してしまうというケースが多発。また、前兆電話がほぼ毎日かかっていることが現状で「留守電にする」「相手の声を録音する」などの対策が有効だという。同課は「自分の知らない人に金銭を渡すことは絶対にやめてほしい」と語気を強める。
金融機関、関係団体も対策強める
小田原遊技場組合(萩原哲二組合長)は2014年から、かもめ〜るやお年玉付き年賀はがきで振り込め詐欺防止に協力。事務局のある市内栄町1〜4丁目内を対象に、ランダムに年間1000枚を配布するなど周知に尽力する。
金融機関は「最後の砦」。銀行等の窓口では、大口の現金をおろす利用者には用途のヒアリングを実施。声掛けに対する理解を求め、「犯罪防止のため話を聞かせてもらうことがある」といった署長名入りの文書を貼りだすなど、警察との連携も強めている。
また、ATMでは、犯罪抑制も視野に1日で引き出せる限度額を設定。電話をしながら操作する高齢者などには案内係が注意を促しているが、ある銀行員は、「不審な電話があったら、まず親族など本人に確認してほしい」と語る。
根府川郵便局(廣井隆史局長)でも接客時に一人ひとりの表情に目を配り、「しっかり会話をすること」を心がける。「お客様の大切な財産を守ることが我々の使命。本当にお金が必要な時に速やかにお渡しできないことは、大変失礼なことだが何とか理解してほしい」と被害撲滅に向け、地道に動く。
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