あしがら写中 Vol.32
茅葺屋根について▽長野市の川中島古戦場史跡公園に行った。上杉謙信が武田信玄の本陣に切り込む場面を再現する銅像と佐久間象山の立像がある。その公園内の2カ所に東屋があり、その屋根が「かやぶき」だった▽この「かやぶき」は里山を象徴する伝統建築だが、その材がとれる、人の手が入った「かや場」はほとんど現存していない。明治頃までは集落の民家が順番で屋根を葺き替えてきたが、次第に「貧しさ」の象徴となり、トタン屋根が増殖したともいう。その風情が見直されているが職人の数も少なく消滅しかねない▽開成町には瀬戸屋敷を挟み「かやぶき」屋根の古民家が2軒ある。そのうち1軒は4月14日から2日間、部分改修を予定していて、その作業を一般公開する。改修に必要な「かや」は関係者が文化庁指定の「朝霧高原茅場」から調達する▽足柄平野には何軒の茅葺屋根があるのだろうか。少ないもののいくつかはある。この屋根の仕組みは、なかなかの教材になりそうだ。少しずつ学んでいきたい。