箱根で開かれた子ども食堂「ハッピーダイナー箱根“PPAP”」で調理を担当した 鈴木 美貴さん 箱根町在住 53歳
その夕食を、もっと幸せに
○…初開催だったものの、賑わいを見せた子ども食堂。「鈴木さんの料理が食べられる」と駆けつけた親子連れもいた。湯本富士屋ホテルのシェフとして、湯本小や箱根中の元PTA会長として顔は知られている。集会所の小さな台所で肩を丸めて菜箸を振るう姿は、シェフというより家族サービス中のお父さん。献立は子どもの好き嫌いが少ないポークソテーを選び、食べやすく刻んだ。皿洗いを手伝う保護者に囲まれ「柔らかく焼き上げるコツもお教えします」と恐縮した様子。
○…実家は横須賀の焼き鳥店。小さい頃から両親は夜遅くまで働き、家族全員での夕食は貴重なひと時だった。家庭の方針だったのか「嫌いだったナスが様々な料理で何度も出てくるんです。もちろん今は大好物」。親の背中を見ているうちに調理師の道を志すようになり、横須賀の商業高校を経てホテルに入社。朝からひたすら野菜の皮をむく下積みが始まった。「怖い料理長に試食用の料理を運ぶ時は緊張しましたね」。今回献立に選んだポークソテーを料理していると、若いころにグリルを任された時の嬉しさがよみがえる。今では洋食料理課長として数百人分もの調理現場に立つことも。仕事を終えて帰宅すると、疲れた足を高くして眠りに落ちる。
○…学生になった2人の子の弁当を、今でも詰めるようにしている。しかしここはサービス業が支える町。PTA活動や町の人権擁護委員などを務めるうちに、夜に親が不在な家や、朝食がとれていない子、コンビニ弁当の子がいる事を知った。そのせいか職場で「子育てちゃんとやれよ」「地域と交流しろ」が口癖になった。そんな中、PTA仲間の千葉哲也さん(=表面に関連記事)から持ちかけられたのが今回の企画。二人三脚で食材調達から前日からの仕込みなど苦労もあったが、ふたを開けてみれば「おかわり!」の連続。「やってよかった」と顔は緩みっぱなしだった。
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