箱根・湯河原・真鶴版 掲載号:2012年6月8日号
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プロの芸人も愛用隠れた湯河原名物 吉浜の独楽職人・伊藤誠一さんの仕事場

削り直した独楽を手にする伊藤さん 手のひらで回り具合を確かめる
削り直した独楽を手にする伊藤さん 手のひらで回り具合を確かめる

 先月湯河原駅近くで賑わった明店街の「ぶらん市」。その一角で子どもからお年寄りまで目線を釘付けにする人がいた。独楽(こま)職人・伊藤誠一さん(63)。湯河原在住ながら、町内でほとんど知られていない職人の工房を訪ねてみた。

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 海を望む吉浜の一軒家に木くずの香りが漂う。ろくろで回転させながら削っていた独楽は、プロの曲芸師も使う「曲独楽」。壁には不思議な形の刃のカンナや小刀がずらりと並ぶ。市販品ではなく自分で火を起こし鉄を叩いて作ったという。 床には輪切りにされた丸太が積まれていた。削る前に2〜3年乾燥させなければならない。「年輪を見ると回りそうか、そうじゃないか分かるんです。近所の庭の手入れで出た丸太から削り出す事もありますよ」。

 伊藤さんは東京・神田生まれで、予想通り昔はベーゴマ少年だった。東京芸術大学在学中に独楽を売るアルバイトをきっかけに職人と知り合い、弟子入りした。これまでに作った作品は数え切れない。複数の独楽を一気に回す独楽や入れ子式の独楽など伝統的な玩具の独楽も手掛けている。曲独楽はプロの芸人や有名落語家に愛用されており、時折、修理のために湯河原へ里帰りする。作るだけでなく、芸能人に「かくし芸」として独楽回しを指導した事もあった。

 「独楽ではとても食べていけないですよ」。今の子どもはもうベーゴマも握らなくなった。買って行くのは、よっぽどの独楽好きか芸の世界にいる人々。そのため伊藤さんは独楽作りのほか、画家や舞台芸術家としても働いて生計を立てているという。振り返れば職人歴40年。「作家になりたがる人が多いが、私は職人でいたい。もっと完成度を高めるのが目標。もちろん今だって修行中です」。
 

乾燥のため積まれた木材
乾燥のため積まれた木材

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