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都筑区 文化

公開日:2022.04.28

川和町の加藤さん
反戦小説を執筆「今こそ読んで」
『エルフリーデの十字架』

  • 発行された著書を手に加藤さん

 川和町で電気はんだコテなどの工業用電機製品の製造業「ダイヤ電機(株)」を営む加藤卓郎(たかお)(筆名=神居卓(かむいたかし))さんが執筆した反戦小説『エルフリーデの十字架』がこのほど、三一書房から出版された。ロシアによるウクライナ侵攻前に発行されたが、今の情勢を予見するかのように「戦争に駆り立てる独裁者の出現」や「プロパンガンダに煽られる国民」への恐怖を綴っている。

 作品の主人公のエルフリーデはチェコスロバキア生まれのドイツ人女性で86歳。9・11ニューヨーク超高層ビル崩壊のテロのニュースを目の当たりにし、半世紀以上も前に経験した惨劇がフラッシュバックしたことからストーリーが始まる。ひっそりと余生を送っていた彼女だが、実はロシアへ送りこまれたスパイだった。第二次世界大戦中の独ソ戦を舞台に日本人スパイとの恋愛や戦場の惨劇、戦禍での人間模様、宗教観などを通じて、平和の尊さを伝えている。

生き証人の言に基づき

 加藤さんは現在70歳。中学生から執筆活動を始めたという。大学卒業後、イギリスのインターナショナルスクールに留学していた時にドイツ人のブルンヒルデさんと出会い、結婚した。ドイツに帰省した際に出会った義母のエルフリーデさんや義父、親戚から独ソ戦の生々しい体験談を聞き取ったいう。また自身の父親も東京大空襲から命からがら生き延びた経験をしたという。

 今回の作品について、加藤さんは「史実と日独の生き証人の言に基づき綴られた迫真の物語。文学史上類を見ない壮大なスケールの群像小説」と説明。「ウクライナ侵攻と同じようなことが過去にも起きている。今だからこそ読んでほしい」と呼びかけている。

 四六判で全192ページ。1800円+税。神居卓著として「三一書房」から発行。アマゾンなど各種ネット販売で購入することが出来る。

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