「旭区『九条の会』7周年のつどい」の合唱構成劇で女学生役を演じる 小林 恵美子さん 若葉台在住 75歳
笑顔に秘めた「伝えたい」
○…1945年5月29日の横浜大空襲。当時の体験集などをもとに作られた合唱構成劇「野ばらのように」の朗読で、戦争を体験した女学生役を演じる。物語の進行役で、台詞も一番多い。「私の中で描かれたものが、観客の方々に伝わるか心配…。でも伝えなきゃ」。よく通る、高めの声が印象的だ。ストーリーのカギとなる配役でプレッシャーもあるが、それ以上に「伝えたい」という思いが強い。
○…劇は5人の朗読と50人の合唱で構成される。劇中の女学生の目には、焼夷弾が落下する様子や母親の腕の中で亡くなった赤ちゃんの顔、死体が山積みになった車が映る。戦下の悲惨な情景を、画像なしで全て自分の声で伝えなければいけないところに難しさがあるという。「戦争を知らない若い人たちに、ぜひ見てもらいたい」。本番を目前に控え、毎日欠かさない自主練習にも熱が入る。
○…長野県出身。国民学校に上がった時、女生徒の先輩たちがわら人形に向かって竹やりを突いていたのが、戦争の記憶の始まり。空襲など直接の被害はなかったが、兄弟の出兵や電気に黒い布をかぶせてひっそりと生活したことなど、記憶はしっかり刻まれている。「父親から『戦争、終わったよ』って言われた時、肩の力がすーっと抜けたのを今でも鮮明に覚えてる。『怖い、やだ』って言いたくても言えない重荷があったのかなぁ」。自分の思いを発せない苦しみから解放された瞬間だった。
○…コーラスやパッチワーク、茶道など多趣味。中でも、芝居が好きで始めた朗読は3年間続けている。ハキハキした話し方や明るい笑顔が、その充実ぶりをうかがわせる。また、若葉台「九条の会」の世話人代表も務めており、仲間と憲法の勉強にも励んでいる。「私たちは、おそらく戦争の記憶を持つ最後の世代。私たちが伝えなきゃ薄れちゃう。体験した者として、戦争の無残さを伝え、後世に平和を残していきたい」
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