県政コラム 民主主義とデジタル革命 神奈川県議会議員 おのでら慎一郎
県は11月1日付で神奈川版デジタル庁ともいえる「デジタル戦略本部室」を設置しました。既に本紙でも報告したように、私が6月17日の県議会代表質問で行政のDX(デジタルトランスフォーメーション=デジタル技術による社会の変革)推進を訴えて以降、CIO(情報統括責任者)兼CDO(データ統括責任者)にLINE(株)執行役員の江口清貴氏を迎えるなどの推進体制が整えられてきましたが、今回は70人規模の組織編制となりました。
県民と行政をつなぐ
新組織で陣頭指揮を執る江口氏は神奈川新聞のインタビューで「はんこをなくしたりファクスをなくすことが目的ではない。その先に人々が簡単に行政とアクセスできる関係をつくっていくことが大切。デジタルに合わせて業務そのものを変えてしまうのが本当のDXだ」と述べています。
今月に入り本県でも新型コロナウイルスの感染者が急増。今後、政府や県から「第三波」対策が繰り出されることが確実な中、まずは行政手続きのオンライン化など、事務作業の省力化や効率化を通じて利便性や生産性を向上させることが急務です。
シビックテックの力
さらに江口氏の言う「本当のDX」を成し遂げるためには、行政がAI(人工知能)など民間企業のテクノロジーを活用して行政サービスを改革するガブテック(GovTech)とともに、行政や地域の問題を政府や自治体任せにせず、県民(市民)自らがITで課題を解決したり、便利な行政サービスを実現したりするシビックテック(CivicTech)の普及が重要です。
3月上旬に開設された東京都の新型コロナウイルス感染症サイトは、発案から1週間で開設というスピード感や使い勝手の良いインターフェースもさることながら、サイトをオープンソースのプラットフォーム(GitHub)上に公開し、その後も市民エンジニアがシステム改善に参加するシビックテックの手法を採用したことから、デジタル革命の好事例として評価されました。
シビックテックは「デジタル時代における民主主義のインフラ」ともいうべき行政情報のオープンデータの上に成り立つ民主的なテクノロジー。ゆえに、DXには不可欠と考えるのです。
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