平成20年4月から泉区長を務めた藤田譲治氏が今月末で退任する。3年間で何ができたのか、今後の泉区にどのようなことを期待しているかなどについて聞いた。
―区長としての3年間で、何ができたか
藤田区長―赴任時に力を入れていく目標を立てた。地域自治の新しい仕組みづくりや、泉区の自然資源を生かした街づくりなど。これからのことを考え、福祉の面や女性の方が働きやすい街づくり、保育士を含めた子育て支援、高齢化が進む中での高齢者支援、特に一人暮らしの方への仕組みづくりも重視してきた。泉区を外からどんどん人が集まる賑やかな区に、全国的にも発信力のある有名な区にと思った。これらは、ほぼ手がつけられて、ある程度できたと思う。それぞれ不断の努力で続けていかないといけない。商業の活性化策は進まなかったが、23年度予算の中に、商店を新たに開店するときの補助制度といった支援策を盛り込むことができたので、一応手は付けられたと思う。
―3年前、本紙『人物風土記』で「街づくりのプロが泉区をつくる」と紹介した。3年間で、どのような街づくりができたか
区長―都市整備局にいたときは、みなとみらいや関内など都心部の仕事が多かった。泉区に来て思ったことは、オール横浜市のパワーをアップしていくためには、郊外部を含めた全体で盛り上がっていかないといけないこと。経済力を含めて力をつけないとできないと感じた。地域資源を生かした街づくりでは、水と緑といった泉区の財産を生かした街づくり、例えば和泉川沿いの桜並木やアジサイの植樹により、プロムナードが作れた。10年、20年先を見越すと名所づくりや将来のにぎわいにつながる。いずみ桜広場は地域の皆さんと行政が一緒になって街づくりをするスタイルが確立できた。災害時要援護の仕組みづくりや一人暮らし高齢者に対する地域の見守りの仕組みづくり、お年寄りが安心して暮らせる街づくりも、だいぶ進めることができた。一定の成果はあげられたのではないか。
―東日本大震災を教訓に泉区でも「安全・安心な街づくり」を再確認すべきとき。何を進めてきて、今後は何が必要と考えるか
区長―万が一の災害が起きた時、お年寄りや障害を持っている方、要援護者を地域で支えていける街づくりを進めてきた。他の区でも点としては始まっているが、区内全域で動き始めたのは泉区だけだと思う。地域防災拠点は万が一の時、地域の方たちが自分たちで数日間は耐えられる状態にしないといけない。訓練を含め、力を入れてきた。被災地に行った職員の話から、いろいろなことがわかってきた。地域防災拠点に備蓄しているもので足りているものと足りないものが明確になった。備蓄の物資の再点検をして、単1乾電池やおむつ、ゴム手袋など本当に必要なものや不足してしまうものを備蓄していかないと。最後は地域の支えあいということも学んだ。
―2年前に立ち上げた泉区地域協議会が各方面から注目されている
区長―地域の自治をどういう風にしていくかは、最も今日的な課題だと思う。横浜市も提案している、新しい大都市制度に切り替えていかないといけない。大都市は大きければ大きいほど、行政と地域住民との距離が広がることが懸念されている。地域の自治と行政がどう連携するかは大変大きなテーマ。そう考えていくと、地域協議会は区政の推進や地域自治の推進に役立ったのではないかと思う。一つのモデルづくりが提供でき、他の都市にも影響を与えることができ、方向性としては正しかったと思う。泉区を全国レベルで有名にすることにもつながった。泉区自主企画の事業評価では、区が独自にやることを区民の目線でチェックをする機能にしないといけないと思っている。Plan-Do-Check-Action(PDCAサイクル)のCに、区民の方たちも参画していただいた。行政は良かれと思っても、区民からは何でそんなことをということもある。より役立て効果を上げるためにも、無駄の排除にもつながる。昨年度は全部の事業をチェックいただき、本当に大変だったと思う。今後はいただいた意見や指摘を次の事業展開に生かしていくことがポイントとなる。
―泉区の特徴でもある「農」を生かした街づくりは進んだか
区長―泉区は18区で一番広い農地面積があるので、せっかくの資源を生かして街づくりにつなげていこうと。農産物直売所の「ハマッ子」は、大きな直売所を作ることでスーパーなどの流通ルートに乗らないようなものでも売れることによって、農家の収入増や生産増につながると始めた。次のステップとしては、農家の高齢化が進む中で区民が農業を手伝う「農業応援隊」を始めた。さらに充実させて、応援する人を増やしていきたい。泉区にとって農業は大切な産業。発展させることで泉区全体の発展につながる。引き続き力を入れていく必要がある。
―区民に伝えておきたいことは
区長―地域でできることは地域の皆さんが取り組むということ。それを行政が応援、支援することを基本とし、できないことは区や市、国といった大きなところがやる。その出発点が地域主体の地域運営。区民も区役所も自覚して取り組んでいくことが重要となる。
―最後にメッセージを
区長―泉区民は、ものすごく力を持っていて、区民力、地域力が非常に高いので、自信を持ってほしい。新区長とも、地域の皆さんと一緒になって、街づくりを進めてほしい。区民の方には3年間にわたり、本当にお世話になりました。本当にありがたく、心から感謝しています。
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