非行少年の心に寄り添う(上) 犯罪や事件になる前に この連載は全3回で非行少年を正しい道へと導く活動を取り上げます
ボランティアの大学生が非行少年に勉強を教え、交流することで立ち直り支援を行う「大学生少年サポーター」という制度がある。神奈川県警察少年相談・保護センターと学生が連携した活動の一つで、県内では横浜市から始まり、今年で10年目を迎えた。この連載では非行少年を正しい道へと導く活動を取り上げる。
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非行少年に関する相談は神奈川県全体で昨年は3929件。うち9割を県内8カ所にある少年相談・保護センターで受けている。相談は保護者からが最も多い。内容は交友関係の問題、万引きなどの犯罪、いじめによる被害など、さまざま。「なかなかうまくいかない子たちに手を差し伸べ、犯罪や事件を起こしたり、巻き込まれたりする前に解決することが私たちの役割」。そう話すのは、横浜第一方面事務所(戸塚区)の少年相談員、三輪ひろ美さんだ。
センターでは、少年に、自身の行為がどのような罪に当たるのか、どのような危険が潜んでいるのかを説明する。例えば万引きは窃盗という犯罪であること、深夜に出歩くことで誘拐など他の事件に巻き込まれる危険があることなどを教え、時に厳しく叱る。さらにカウンセリング形式で行為に至った経緯や本人の言い分などを聞き取り、今後どうしていくべきかを共に考えていく。ただ厳しくするのではなく、非行少年の心に優しく寄り添うことが大切だという。
少年から漏れる本音
センターに継続して通うと決めても、約束を破り、遊びに行ってしまう少年もいる。それでも根気強く対話を重ねるうちに、信頼関係も生まれ、徐々に本音や思いを語るようになるのだという。「強制力があるわけではないのにセンターに来るのは、聞いてほしいことがあるからなのでしょうね」と三輪さんはほほ笑む。
時には「本当は高校に進学したい」といった本音が漏れることもある。勉強が苦手、勉強すると仲間にからかわれる、今更勉強したって――。そんな少年を学習面で支援するのが「大学生少年サポーター」だ。身近な大人の見本として、心の成長を促す役割も担っている。 (つづく)
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