泉寿荘で「しんこ細工」を指導している 笠原 しのぶさん 中田南在住 56歳
かつての縁日を今に
○…「伝統を、先生の技をどうしても残したくて」。上新粉を水でこねて蒸した団子から、手や和ばさみで動物・食べ物などを形作る「しんこ細工」。泉寿荘で月に3回指導し、緑園の「花の生活館」でも開館当初から体験会を続けている。江戸時代からの職人芸だが、今ではしんこ細工師は減り、縁日で見かけることもなくなった。日本で唯一といわれた職人も3年前に引退。自身はプロではないが、伝統を残したいという一心で活動を続けている。
○…出合いは25年前。区の広報で見た教室の案内。かつて母からしんこ細工について聞いたことがあり、興味があった。数回の講習では学び足りず、その後講師に弟子入りを志願。助手として泉寿荘で活動を始めた。しかし、もともと高齢だった恩師はそれから5年ほどで他界。以来、教わった技術を守りながら、代わりに教えるようになった。作品は亀や鳥、みかんなど、どれも大きさにして五百円玉ほど。ものの3分で見事な形が浮かび上がる。
○…昨年「もっと知ってもらう機会を増やさないと」と野毛大道芸に挑戦。審査を通過し、初めてプロと並び、技を披露した。会場では「素人ですが、玄人のように。まずは格好から」と着物の上に特注の法被をまとい、渋い屋台も用意した。衛生面から昔のように食べられると宣伝できず、残念がる年配者もいたが開始と同時に次々と注文が入った。休みなく作り続け5時間。「かつての縁日を再現できた」という達成感が胸にこみ上げた。
○…ガレージ2階の「遊び部屋」。中には中国・ラオス・インド・ブータンなど、アジアを中心に、現地で心奪われた民芸品や民族衣装が整然と並ぶ。若いころは大きな家具まで買い、船便で輸入するなど、アートへの想いは筋金入り。今は愛猫に留守番させたくないと、海外旅行は封印中だが「気になるものがあるとついつい買ってしまう」と満足そうに微笑んだ。
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