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緑園横山彼得さん 学校のピアノ「無償で」調整 廃棄寸前から蘇る音色

文化

公開:2023年3月2日

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ばらしたピアノを見つめ、直し方を話し合う横山さん(左)と大森さん
ばらしたピアノを見つめ、直し方を話し合う横山さん(左)と大森さん

 「もう廃棄するしかない」といわれた古いピアノを再び――。緑園の(有)ピアノクリニックヨコヤマで代表を務める横山彼得(ペテロ)さん(62歳)=今号人物風土記で紹介=が現在、インターナショナルスクールのピアノを無償で修理している。これまでも学校や幼稚園のピアノをボランティアで調整してきた横山さんは「子どもたちに良い音を聴かせたいから」と思いを語る。

音の鳴らない鍵盤も

 ピアノ調律師として国内外のピアニストから支持を集める横山さん。知人からこのほど、ホライゾンジャパン・インターナショナルスクール(神奈川区)のピアノが廃棄されそうだと聞きつけて、同校に赴いた。

 ピアノは約60年前の国産アップライト。音が鳴らない鍵盤やひび割れている部分もあったため、他の業者には「廃棄するほかない」とされていた。そのピアノの調整を横山さんが引き受けた。

 2月22日には休日を利用して同校へ3度目の訪問。重いバッグの中身は数々の道具で、ドライバーだけで数種類ある。「こんなに持ち歩く調律師は他にいないでしょうね」。弦を叩くハンマー部分のフェルトを調整しながら「針を刺して柔らかくしたり、削ったりする。そのやり方によって音は全く違うものになるんです」と話した。

 国内の一般的な調律師のセオリーには収まらない横山さんの技はウィーン仕込み。現地の調律師の技術を目と耳で学んだ横山さんは「ひろっている音の成分が日本とは違うんです」と説明する。

気持ちよさそうに「歌う」

 「横山は見捨てるということがないんです」。そう話すのは共に作業する大森智浩さん(30歳)。音大で声楽を学んでいた頃に横山さんと出会い、約1年半前にピアノクリニックヨコヤマに入社した調律師だ。

 声楽を学んでいた大森さんは「ピアノって『歌わない』楽器だなと感じていた。でも横山の調律したピアノは気持ちよさそうに歌うんです。その技にほれ込んでしまって」と明かす。

子どもたちへの思いで

 ピアノの修理や調律のほか、輸入ピアノの販売、音楽教室の運営も手掛ける(有)ピアノクリニックヨコヤマ(緑園1の4の13/【電話】045・811・4580)。横山さんが1997年に南万騎が原で開業し、2020年に緑園に移転した。

 下積み時代は1カ月の食費を数千円に抑えてコンサートに足を運んだり、深夜のファミレスでアルバイトを続けて生計を立てた時期も。それでもピアノと真摯に向き合ってきたことが今日まで仕事につながってきた。

 今回、同校へはピアノの調整だけでなく、体育館用に中古のグランドピアノ1台を寄贈するという。決して余裕があるわけではないが、横山さんは「子どもたちには良いピアノの音を聴かせてあげたい。その思いばかり」と語る。

横山さんの調律用ピアノハンマー
横山さんの調律用ピアノハンマー
欧州のピアノが所せましと並ぶ店内
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