この連載では、2024年夏に大規模集客施設の開業を控え、注目を集める「ゆめが丘」にまつわる人にフォーカスをあて、過去や未来についての思いを語ってもらいます。
環状4号線の下飯田地区で視界に飛び込んでくる個性的な建築物。相鉄「ゆめが丘駅」は水色のアーチと丸みをおびたガラスの壁で囲まれたホームが高架の上にある。その独特なデザインからドラマやCMの撮影場所としても人気を集める。
当時の図面を見ながら、設計を担った(株)交建設計(本社・東京都中央区)の奈雲誠さん(61歳)は「あれは断面でみるとわかりますが、水のしずく=水滴をイメージしたものなんです」と説明する。横浜市も当時「水をいかした街づくり」を泉区で構想していたこともあり、それを上位計画と位置付けてイメージに沿うように設計された。
「重くならないよう」
外壁を曲線にしたのには視覚的な理由もあるという。「田園風景の中にぽつんと新しい駅ができる。シンボルにしようというケースもあるけど、風景との調和を重視してあまり重たい印象にしたくなかったんです。四角い箱ではなく、丸みをおびた形にしました」
また、ゆめが丘駅はホームに柱がない構造になっているが、それが開放感にも繋がっている。「ホームの空間を気持ち良いものにしたくて、なるべく余計なものがないようにしました。その分、設計上の工夫もありましたし、いろんな人にも無理をお願いしました」と微笑んで明かす。
「コロナ禍の今では、コスト制約等もありこのような形態は難しいと思う。当時、相鉄の担当者さんから『関係者を口説けば好きにやってよい』と言われ実現したものです」と感謝を口にする。
「あの頃ならでは」
ゆめが丘駅は鉄道建築協会賞に入選(1999年)するなど建築が高く評価され、東北新幹線の八戸駅などにもデザインが引き継がれている。
一方でゆめが丘駅は計画が進められていた当時から駅周辺の開発が予定されていたが、その後に市の計画が変更。新たなまちづくりは約20年の時を経て再び動き出した。
奈雲さんは「完成してからこれまでずっと、のどかなままだったけど、やっと多くの人に使ってもらえる駅になると思うとやっぱりうれしい」と思いを語る。まもなく訪れるその時に思いを馳せ、目を細めた。
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