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泉区 経済

公開日:2023.09.21

戸塚区・榊さん
「浜ニラ」への夢に一歩
市内唯一の専門農家へ

  • 葉がピンと立ったニラを収穫する榊さん

 戸塚区東俣野町の畑で「ニラ」を専門に生産する榊昌己(さかきまさみ)さん(47)が、9月からJAの直売所に出荷を始めた。南部農政事務所によると「把握する限り、ニラ専門農家は市内で他にはいない」という。

 横浜市の新規就農者向けの研修や支援事業を活用し、”農家”になった榊さん。昨年9月までの28年間は会社員として、トラック生産車の品質管理などを担当していた。

 7年前から、妻に誘われ俣野町にある市民農園に参加。週末に野菜の栽培や収穫を体験してきたが、2年前の夏、網膜剥離で左目が一時見えなくなってしまう。これをきっかけに「体が動くうちに挑戦したい」と一念発起。市民農園の園主で、市農業委員会連合会会長などを務める北村豁さんに相談し、市が新規就農を支援する「横浜チャレンジファーマー」の研修に参加。昨年4月から1年間実習を重ねたほか、栃木県鹿沼市や静岡県浜松市のニラ農家を訪ねたり収穫を体験したりし、生産技術の習得に努めてきた。

 ニラを専門にしたのは、多年草で何度も収穫ができることや、専門にやっている人が少なく、夢を感じたから。「いつか梨やぶどうのように『浜ニラ』ブランドができれば」。北村さんの知人に借りた4000平米の畑で昨年3月頃からニラを育て始め、現在は7品種を扱う。卸業者を通じての販売のほか、毎週土曜にJAのハマッ子直売所みなみ店(泉区/【電話】045・803・9272)に出荷している。

就農に市の支援策

 北村さんは後継者不足による農地の荒廃化を防ぐため、榊さん含め7人の新規就農者を支援。市も後押ししており、新規就農者に農業機械などの経費を補助する。榊さんは「本来はこんな大きい土地は貸してもらえない。多くの人に支えてもらえた」と話す。

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