保護司を長年務め、このほど瑞宝双光章を受章した 田中 龍彰さん 和泉町在住 72歳
『言葉を信じる』信条を貫く
○…犯罪や非行をした人の立ち直りを地域で支える役目を担う保護司。37歳の時に知人の紹介で引き受け、30年以上にわたり務めてきた。このほど、瑞光双光章を受章。「当時は保護司のことを知らなくてね。引き受けてから、求められる役割の重大さを知ったよ」。暴走族やシンナーといった時代から大麻などのドラッグや特殊詐欺と犯罪は社会背景により変わったが、最初に会ったときに話す言葉は変わらない。「君の言葉は全て信じるから」
○…密蔵院(和泉町)の長男として生まれる。中学校では地元のボーイスカウトに入団。フィールドワークが好きで大学卒業後も活動を続けた。「先輩、後輩たちからもよくしてもらってね。自分にとって大切な仲間たち」と、OB会の開催を楽しみにする。
○…「お寺なんか継ぐものか」と思っていたという。進路を決めようとしていた大学生の時、父が病気を患った。寺の仕事を手伝っているうちに気持ちが少しずつ変わっていく。地域や檀家との関わりに「自分に向いているかも」と感じるようになった。「先代と同じようにはできないが、父の影響はやはり大きい」
○…70歳手前からサックスを習いだした。「生まれてこの方、こんなに練習したことはない」と言うほど今はサックスに熱中。「檀家さんにご詠歌を教えることがあるが、今は自分が注意したことと同じことを言われている」と笑う。保護司の仕事をしているとウソをつかれることもあるが、「聴いてあげることが大切」と『信じる』という信条は変えない。相談を受けた少年の一人は大検を受検し、のちに海外の大学で教授になったと少年の母親から聞いた。「長年活動を続けることで、多少なりとも力になれたのかな」
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