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栄区 人物風土記

公開日:2012.08.30

「子ども支援菜園」の代表として活躍する
高田 良活さん
公田町在住 71歳

「子ども菜園には夢がある」

 ○…桂台で本郷中央地区の民生委員・児童委員が運営している「子ども支援菜園」。「体験による食農教育」を目的に4年前に立ち上げて以降、サツマイモやタマネギなど年間7種類ほどの作物を栽培している。普段は委員やボランティアが管理し、地区内の小学校や保育園の子どもたちが植え付けや収穫に訪れる。「同じ物を作り続けると畑がダメになってしまうから難しい」と話すが、「子どもが土に触れる機会は教育上、絶対必要」その思いは強い。

 ○…きっかけは区が野七里などで行っていた「栄区子ども菜園」。2年間続いたが、使用していた土地に施設を建設するため、継続ができなくなった。「子どもたちが石ころを省いてようやく畑になったのにかわいそう」と同地区で同様の取り組みを行うことを決めた。個人から土地を借り、耕したものの、場所は住宅街の一角。当初は子どもの声が響くことや、砂埃が立つことなど、近隣住民から理解を得るための苦労もあったと明かす。「近所みんなを仲間にしよう」と声をかけ、今ではボランティアで参加している人も多い。

 ○…リタイア前は自動車の装飾部品などの営業マンとして活躍。実績を買われ、勤務先の役員にも抜擢されたが、これまで農業の経験は皆無。それでも「芋掘りに行った小さいころの思い出は強烈だよね」と笑顔。作業の傍ら虫を見つけてはしゃぐ子どもの姿に目尻が下がる。「植えただけで作物はできない。受粉して草取りをして丁寧に育ててできる。植物にも命があることを実践を通して教えたい」

 ○…3月には地区の垣根を越えて子育て中の母親とつながり、「親子倶楽部」を発足した。これをきっかけに「区全域で同様の取り組みができれば」と他地区の民生委員にも働きかけている。秋は収穫の季節。区民まつりで収穫物を販売するほか、芋煮会なども行う。「子ども菜園には夢がある」作物とともに、子どもや大きな夢も育っている。

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