神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS
栄区版 公開:2016年7月21日 エリアトップへ

増加するシニア起業家(中) 技術生かし墓石彩る この連載は全3回で、横浜市内におけるシニアの起業について取り上げます。

経済

公開:2016年7月21日

  • LINE
  • hatena
作品を紹介する太田さん
作品を紹介する太田さん

 太田桂(かつら)さん(62)=戸塚区在住=は3年前に「墓石絵 桂」を立ち上げた。

 事業内容は、墓石に彫る絵のデザインだ。まず遺族から亡くなった人の思い出を聞きながら、デザイン画を作る。その後石材店での彫刻を経て「墓石絵」として仕上げる。

 芸術大学を卒業した太田さんは、デザイナーなどを経て、県内の高校で美術講師をしていた。転機は、父の墓を作ろうとしていた、2006年に訪れた。

 「海が好きだった父のため、世界でひとつの墓を」。美術の腕を生かし、爽やかな帆船の絵を描くと、思った以上の出来になった。

 「人生の軌跡をかたちに遺すことで、悲しみを乗り越える力になる」。そう実感した太田さんは「これを人生の仕事にしたい」と、男女共同参画センター横浜が主催する起業セミナーに参加。事業のノウハウを学び、さらに市や各種団体にも協力を仰ぎながら、数年かけて起業にこぎつけた。

「この歳だからこそ」

 最初の依頼主は突然夫を亡くした女性だった。太田さんは遺族の思いに心を寄せながら、「夫の死後に現れた」という黒い蝶や、家族を象徴する5匹の魚を描いた。完成した墓石を見た遺族は、心から喜んだ様子だったという。「遺族の悲しみに寄り添うのは、この歳だからこそできることかもしれない」と話す。

 現在、美術の非常勤講師を続けながら事業をしている。受注件数は年に2〜3件。利益は決して多くはないが「お客さんの喜ぶ顔を見るのは、お金では換算できない嬉しさ」と語る。

 課題もある。パソコンが大の苦手で、顧客とのメールのやり取りも「一苦労」。ウェブでの宣伝にも苦心しているのが悩みだ。

 目標は「年間84件」の受注。大きな数字を掲げるのは、教え子を思う気持ちからだ。「これは人を雇うために必要な件数。美術大を出ても仕事がない教え子が働ける場所にするため、試行錯誤を続けたい」  (続く)

栄区版のローカルニュース最新6

木村さんが楽しさ伝える

木村さんが楽しさ伝える スポーツ

サッカー教室に約70人

2月23日号

小学校に税の解説本寄贈

市内7法人会

小学校に税の解説本寄贈 社会

授業での活用を期待

2月23日号

「子どもの貧困」考える

「子どもの貧困」考える 社会

区社協が研修会

2月23日号

3月末までに配布開始

ヘルプマーク導入へ(上)

3月末までに配布開始 社会

2月23日号

3種目で初の全国大会へ

3種目で初の全国大会へ スポーツ

セントラル本郷台・児嶋さん

2月23日号

入学前に園児が交流

入学前に園児が交流 教育

たっちーらんどでフェス

2月23日号

あっとほーむデスク

  • 2月23日0:00更新

  • 11月3日0:00更新

  • 9月8日0:00更新

栄区版のあっとほーむデスク一覧へ

バックナンバー最新号:2017年2月23日号

お問い合わせ

外部リンク