4月13日(土)に行われるアートイベント「わたね市」の実行委員 田邉 たけしさん 富岡西在住 32歳
アートでつなぐ、人の輪
○…「輪の種を植えられたら」―。人と人をつなぎたいという思いを込めた「わたね市(いち)」。横須賀・大楠山の麓、青空の下に机や椅子が並ぶ。陶芸や手芸、工芸のアーティストたちによる、手作りの青空市だ。第1回、2回と300を超す人を集めたこのイベントを、3人のアーティストと共に作り上げてきた。
○…ヘンプ(麻ひも)を使ったアクセサリー作家。淡々と過ごす日々に疑問を持ちながら仕事をしていた26歳の頃、転機が訪れた。「会社に行って帰っての繰り返し。友達もいなくなって、彼女とも別れて…」と苦笑い。人との出会いを求めて参加した社会人サークルの帰り道、ふと空しさを感じた。この先もこんな生活を続けるのか―。その時、自分が人を集めようと思いついた。「でも技術も人脈もない今の自分じゃ誰も集められん。それなら何か作れるようになろう」。直感だった。「ヘンプは人を集めるツールだったんです」。
○…六浦出身。ステンドグラス職人の父親と、画家の妹をもつ。「でも美術の評価はいつも2」と笑う。知り合いの店を借りて作品を展示し続けるうち、教えてほしいという依頼が増えていった。求めていた「つながり」が広がり始めた。現在開く教室にはヘンプに興味を持つ人のほか、仲間を求める人が集う。「住む環境や仕事は違っても、もの作りで人はつながれる」。ここに魅力を感じる。「個展を開いて、”どうだ”っていうより一緒に作品作りがしたい。生徒は友達。僕は皆よりちょっと知ってるだけですから」と微笑む。
○…作家や地元の人が集まる地域の居場所を作ることが夢だ。「金沢区が大好き。最近はイベントに参加する若い世代が少ない。僕ら世代が地域のつなぎ役になれたら」。縁が縁を呼び、作家や生徒と区内のイベントを主催したり、参加したりする機会も増えた。「昔の僕のような人が『出会える』可能性を作りたい」。一回り、二回りと輪が広がっていく。
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