連載 かねさわ地名抄 第18回「富岡川」 文・NPO法人 横濱金澤シティガイド協会
富岡には、小さな川が数本ありますが、ここでは富岡川について述べます。
以前は、保土ヶ谷道の追分あたり(能見台2丁目)を水源とし、不動の滝を下り、字滝・字三田・字大谷(現富岡西、大谷橋付近)を流れ、京急富岡駅の下を抜け字前田から日向山の裾を回って「ドンドン」という場所から海に入っていました。河口で川が滝のような急流となり海に落ち込んでいる所が「ドンドン」と表現された地名です。
「ドンドン」の対岸には井上馨の別荘がありましたが、その後役者の持ち家となり、さらに富岡楼という料亭となって昭和10年代まで繁盛していました。
その後「ドンドン」に流れるコースは廃川になりました。現在、富岡川の上流は全ての地域で暗渠(あんきょ)となり、大谷橋あたりから駅の近くまでの1・2Kmにわたり二重河川の小川アメニティ(市内42ヶ所)となっています。川は国道16号の近くで開口し、日向山をトンネルで抜いて、県立金沢総合高校の北西角で埋立地の富岡運河に流れ込みます。
支流として、平原から横浜高校の西南角を流れ下ってきて国道富岡橋の近くで富岡川に合流している川があります。この川には灌漑用水用の堰が設けられたとのことです。その後用水がなくなり、そこで使われていた石は富岡小学校の裏門の柱に利用されました。
かつて、春先になると鮎の群れが東京湾から富岡川をさかのぼっていくのをよく見ました。それも昭和30年頃までです。上流部での宅地開発が本格化して川の汚れが進み、生物がいなくなってしまいました。
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