金沢区・磯子区 人物風土記
公開日:2015.12.10
12月21日に発売される「身近なヤゴの見分け方」の著者
梅田 孝さん
磯子区在住 45歳
トンボ一筋 永遠の昆虫少年
○…「1匹も殺さないで完成させよう」――ヤゴ図鑑を作るにあたり、写真担当の渡利純也さんと2人で決めたルールだ。本著に載っているヤゴ計72種類はイラストなどを使わず、自前で撮影した写真で紹介する。「生体時の色彩や躍動感をそのまま伝えたかった」。使用したヤゴは、すべて自然に返した。殺さずにきれいに撮る技術を問うと、「企業秘密」といたずらっぽい笑顔を見せる。
○…「典型的な昆虫少年」だったが研究者の道は歩まず、経済学部へ。卒業後、横浜市役所へ就職した。それでもトンボへの情熱は消えなかった。ロシアや東南アジア、エーゲ海の島々、砂漠のオアシス――休みになれば網と三角箱を手にトンボを求めて世界中を旅した。トンボの面白さを「難しいから」と答える。トラップで捕まらず、幼虫から成虫に育てることもできないため、成虫の標本を作るには網を振って捕まえるしかない。「宝探し的な要素があるんです」
○…市職員時代には、大道小学校や長浜公園のトンボ池を手がけた。「新規で池を作るには、いかに防水をしないかが肝」。水と土を人工物で分断しないことが、そこに住む生き物に対して良い環境を作る。「大道小の時は試し堀りを何度もした」。これまで培ってきた知識や経験が、水辺の環境やそこに住む生き物を救う一助になればと願う。
○…自宅の2部屋はトンボ専用。「家族には嫌われている」と苦笑いする。ヤゴの脱走もしばしばで、洗濯物の上で羽化したこともあるという。現在はこども植物園ウエルカムセンター(保土ケ谷区)に勤務。標本作り教室などで、子どもに昆虫と触れ合う機会を提供する。「ギンヤンマの胸を持った時に感じる筋肉の躍動や力強さは、体験しないとわからない」。その実体験が「命の大切さ」を伝えると信じる。「図鑑じゃわからないことを知ってほしい。虫好きを育てないと」と語る目は澄んでいた。
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