金子さんの草花の不思議発見第11回 ダイコン 白い食用部全てが根ではない 文・日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(金沢区富岡西在住)
おでんに欠かせない「ダイコン」は、葉を除いた白く太い部分を、一般に「根」と呼んでいますが、正しくは全てが根ではありません。畑に栽培されている大根をよく見ると、写真(右上)のように、白い部分が一部地上に出ているのがわかります。地下に潜っている部分が本来の根で、地上部は根ではありません。
この境はどこかというと、写真(左上)を見るとわかります。表面中央の上下に連なって見える小さな窪みは、細く短い根(側根)が生えていたところですが、水洗いの時落とされてしまいます。従って一番上の窪みの所から下の部分が、地下に潜る本来の根です。その上の薄緑色した部分は、発芽後に発達していく初期の茎(胚軸)で、一番おいしい部分です。本格的な茎は、この胚軸と葉柄との境にあり目立ちません。
左下の写真のカイワレダイコンでは、側根が出ている先端部が根の部分で、その上から2枚の子葉の付け根までが胚軸になります。この場合には根の部分が短く、胚軸部が長くなります。「カイワレ」とは「貝割れ」の意味で、大きい子葉が小さい子葉を包んで開いていく様子が、貝の開きに似ているからです。
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