金沢区・磯子区版 掲載号:2019年8月15日号 エリアトップへ

歴史に消えた存在伝える 山崎洋子さん著書を語る

文化

掲載号:2019年8月15日号

  • LINE
  • hatena

 日本人女性と米兵との間に生まれた混血児、「特殊慰安施設」で米兵の相手をさせられた女性――そんな「横浜の闇」にスポットを当てた「女たちのアンダーグラウンド 戦後横浜の光と闇」(亜紀書房)が今年5月、出版された。著者の山崎洋子さんに話を聞いた。

 観光スポットとして多くの人が訪れる「山手外人墓地」にほど近い中区仲尾台にひっそりと佇む「根岸外国人墓地」。その一角に、2本の木を重ね合わせただけの十字架が、昔はびっしりと立っていたという。そこには、日本人女性と米兵との間に生まれた嬰児約800人が眠ると言われている。

 山崎さんがこの墓地の存在を知ったのは1997年、初のノンフィクション「天使はブルースを歌う」の取材を通してだった。20年以上たった今、「もう一度、調べ直そう」と思った理由が、「女たち――」の冒頭に書かれている。横浜市役所に取材拒否をされた山崎さんは「この開放的な街には隠さねばならないことが、少なくとも行政はそう信じているらしい歴史があることをあらためて思い知った」(著書より)と書く。「犠牲になった沢山の人のことを、なかったこととして消すことがたまらなく嫌だった」と振り返る。

 本著では、横浜だけでなく札幌やタイに飛び、時代に翻弄され闇に葬られた女性やその子どもの生き様を追う。「進駐軍は当時、日本全国にいた。だからこれは横浜だけではなく、日本のどこにでもあった話なんです」

 いつ同じようなことが起こるか分からないと現代の社会情勢も危惧する。「戦争しないようにしましょうと言いながら、喉元過ぎれば熱さを忘れる。『自分の国さえよければ』と考える人も増えている。怖いことだと思う」。だからこそ、過去にあった事実が埋もれないよう伝えることの大切さを訴える。

 一方で希望がわいてくる出来事もあったという。2018年、横浜市都市発展記念館で米軍接収時代の横浜の浮浪児や混血児、赤線の女などの赤裸々な写真を展示する写真展が開かれた。共催は市教育委員会。「多くの人が訪れ好評だったと聞きました。一時期タブー視されていたが、きちんと歴史を見つめよう、という傾向が出てきたのかもしれない」と笑顔をみせる。

 今年、緑が豊かで海のある場所でゆっくり暮らしたいと金沢区に引っ越した。「どう仕事に生かすか関係なく、勉強ができる環境になった」。興味があるのは日本の歴史や宗教学。「歴史は人間。今まで知らなかったことをこの地で学べれば」
 

根岸外国人墓地
根岸外国人墓地

金沢区・磯子区版のローカルニュース最新6

秋の叙勲・褒章に15人

秋の叙勲・褒章に15人 社会

金沢・磯子区民が受章

11月14日号

木と遊ぶ こどもり祭り

創立40周年を祝う

富岡東中

創立40周年を祝う 教育

新標準服を披露

11月14日号

加藤登紀子ほろ酔いコンサート

IR誘致、市が説明会

IR誘致、市が説明会 経済

11月22日まで参加受付

11月14日号

地域デビューを応援

磯子区

地域デビューを応援 社会

受講生を募集

11月14日号

小松亮太さんら出演

タウンニュース社主催

小松亮太さんら出演 文化

タンゴスペシャルコンサート

11月14日号

あっとほーむデスク

  • 10月31日0:00更新

  • 8月15日0:00更新

  • 7月18日0:00更新

金沢区・磯子区版のあっとほーむデスク一覧へ

イベント一覧へ

最近よく読まれている記事

コラム一覧へ

金沢区・磯子区版のコラム一覧へ

バックナンバー最新号:2019年11月14日号

お問い合わせ

外部リンク