国内外のコンクールやコンサートで活躍する若きピアニスト、井上陽南子(ひなこ)さん(日限山中学校3年生)。数々の受賞歴もあり、将来が期待される井上さんにピアノの魅力などについて話を聞いた。
井上さんがピアノを始めたのは4歳の時。母の景子さんが弾く姿を見て、「すてきだなあと心に染みた」ことがきっかけ。その後、当時住んでいた福岡県でピアノ教室に通い始め、小学校入学前に横浜市へ転居してからも習い続けたという。
すると才能はまもなく開花。ピアノを始めて2年目の2003年に「第15回夢コン全国大会リトルコンチェルト部門」で第1位となったのを皮切りに、数々のコンクールに出場して毎年のように優秀な成績を収めてきたほか、3年前にはアメリカで2番目の規模を誇る国際ピアノコンクールに日本代表として出場した。
また昨年8月下旬には(社)全日本ピアノ指導者協会が主催し、多くのプロのピアニストを輩出してきた「P(ピ)TNA(ティナ)ピアノコンペティション」F級(高校3年生以下)でベスト12に入賞。約1000人が参加し、決勝大会進出率わずか2%という国内最大規模の大会で果たした快挙だった。
読書や絵画鑑賞も
「学校から帰宅後は自宅の練習部屋にこもり、4、5時間練習に励む毎日。「曲から伝わる情景を読み取るのが大事」と、楽譜を正確に演奏するだけでなく、その作曲家が曲を通じて伝えたかった意思を把握することを重視する。目下練習中のドビュッシーの「組み合わされたアルペッジョのために」では、「きらきら光る水の中で光が波打ち、その水の世界からメロディが聞こえてきて夢心地な気分」と自分なりに理解した印象を念頭に鍵盤を弾く。
曲を深く理解するためには、「作曲家の生きた時代背景、関わった人も調べる」と、読書や絵画鑑賞を欠かさない。「小学生の頃から大好き」というショパンについては、その肖像画を描いた画家のドラクロワの作品に興味を抱いた。「ショパンの曲は繊細なのに、ドラクロワの絵のタッチは荒々しいのがおもしろい」。
また、作曲時のショパンの心理状況を探ろうと、家族や恋人、友人にあてた手紙をまとめた書籍も読んだ。直接何かが分かるわけではないが、「知らないと知っているのでは、知っている方が良い。何でも知ることでショパンを少しでも深く理解できる」と、労を惜しむことがない。
演奏で人を励ましたい
「曲のイメージがつかめない時は辛い」というが、「悩むことが多い分、得る喜びも大きいから、嫌だと思ったことはない」と言い切る。景子さんは「家庭や学校以外の世界があればと習わせたけれど、こんなに本格的にやることになるとは」と語り、「自分なりに音楽を考えて主体的にやっていたが、何よりも”好き”という気持ちが長続きさせているみたい」と話す。
「感情を細かに伝えることができるかけがえのないもの」というピアノ。将来は「人の心に訴えかけ、落ち込んでいる人を励ませるような演奏」ができるピアニストになることが目標だ。
目前に控えるのは、地区大会を勝ち抜いて出場を決めた「第13回ショパン国際ピアノコンクールinASIA」(1月4日開幕)の全国大会。これを突破し、アジア大会への進出を目指す。
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