南部病院 たらい回しの解消目指す 救急患者の受入を促進
横浜市が救急患者のたらい回しを防ごうと2011年度から実施している「救急搬送受入病院連携支援モデル事業」に済生会横浜市南部病院(今田敏夫院長)も昨年11月から参加し、救命活動に力を入れている。
市統計によると、2011年中の救急搬送件数は14万6533件。そのうち、救急隊が現場から搬送先の医療機関を選ぶ際に電話照会回数が5回以上となる「搬送困難事案」は2726件発生し、命の危険がある重症・重篤も256件含まれていた。また、救急隊が現場に到着してから搬送開始までの時間が30分以上となったケースも全体の10・3%に及んでいる。
病院側が救急患者を受け入れられない大きな理由として、満床であることが挙げられており、この問題を解消するために始まったのが同モデル事業だ。市は南部病院など救急患者の受入実績が多く、環境も整っている病院をモデル事業実施病院に選定。モデル事業実施病院は救急患者を受け入れ、ある程度回復させた後に連携する病院に転院させ、満床を防ぐ。市はモデル事業実施病院と連携病院に助成金を出すほか、両病院の連携の強化や調整も行う仕組みだ。
南部病院は、港南台病院(港南台)と長田病院(丸山台)、横浜なみきリハビリテーション病院(金沢区)、済生会若草病院(金沢区)を連携病院とし、昨年11月19日よりモデル事業に参加している。
1月18日までに3件の搬送困難事案を受け入れているが、まだ連携病院に転院したケースはないという。しかし、11年度実績で年間5100件の救急搬送を受け入れる南部病院は、常に満床に近い状態が続いており、連携が機能すれば搬送時間の短縮になり、患者の治療だけではなく、救急隊の効率も上がるなどメリットも大きいと説明。救急センターの豊田洋センター長は「4病院と連携する仕組みができたことが第1歩」と今後の「病病連携」に期待をかける。
本格実施検討へ
モデル事業は11年度に済生会横浜市東部病院(鶴見区)、昭和大学横浜市北部病院(都筑区)、横浜市立市民病院(保土ケ谷区)で実施され、12年度は南部病院のほか、横浜医療センター(戸塚区)、横浜労災病院(港北区)で実施される。
モデル事業を行っている市健康福祉局によると、東部病院は11年11月14日から12年11月30日までに71件の搬送困難事案を受け入れたという。市は一定程度の効果があったとし、本格実施に向けて検討をしていくとしているが、一方で満床を理由にモデル事業実施病院であっても受け入れ不可であったケースもあり、今後の課題だとしている。
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