横浜市 「住宅耐震化」伸び悩み 市民の防災意識低下か
横浜市は旧耐震基準で建てられた「木造住宅の耐震化」を進めているが、今年度に入り「耐震診断・耐震改修工事」ともに件数が伸び悩んでいる。「東日本大震災から3年が経ち、市民の防災危機意識が低下しているのではないか」と市担当者は話している。
横浜市は1981年5月末以前の木造住宅を対象に無料の耐震診断と耐震改修費用の一部を補助する事業を実施している。年間700件〜900件で推移していた耐震診断の申込件数は、東日本大震災後に急増。11年度は2700件と過去最多、12年度も2100件と高い水準だった。しかし、今年度は12月末時点で926件と件数が伸び悩んでいる。制度利用に関する問い合わせなどもほとんどない状況で、市建築局担当者は「防災への危機意識が低下しているのでは」と不安視する。
費用面もネックに
市は東日本大震災の発生を受け、11年4月1日から昨年12月27日まで、耐震改修費用の助成限度額を150万円から225万円に増額し木造住宅の耐震化を進めてきた。しかし、昨年12月は増額期間の締め切りで「駆け込み」があったにも関わらず、今年度(4月〜12月末)の改修申請件数は457件と12年度に比べ半減。1月に入っても24日時点で申請件数は0件だ。耐震診断で「倒壊する可能性あり」と判定されても、実際に改修に踏み切る住宅は多くない。ネックとなるのが、補助金では賄いきれない高額な工事費用だ。同事業に登録する青葉区の建築会社は、市の補助制度は全国でもトップクラスとしたうえで、「それでも市の条件をクリアして改修するとなると費用が300万〜500万円はかかる。特に高齢者は二の足を踏む人が多い」と話す。
市内には依然として「耐震性がない」とされる旧耐震基準の木造住宅が、約14万8400戸あると推測されている。昨年末までの耐震診断実施件数は2万8458件。この数値から市内には約8割にあたる「12万戸」の木造住宅が未診断のままという状況だ。市担当者は「未診断住宅のほとんどは倒壊の可能性があります。速やかに耐震化の改修工事を行うことが望ましい」と注意を促す。
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