日本料理教え34年 85歳の熊井さん
「具合が悪い日も、家族の葬儀があったときも1日も休んだことはないのよ」と明るく話すのは上永谷在住の熊井登美子(とみこ)さん(85)。熊井さんは港南地区センターで開館当初から34年にわたり、ボランティアで日本料理を指導している。
熊井さんは結婚後に母親が難病を患い、40代のころは看病に明け暮れていた。「看病だけでは生きていけない」。気晴らしに茶道の師範だった伯母から茶道を習い、しばらくして「これからは料理を習ったら」と伯母から勧められた。
料理教室へ通い始めたが、大人数での授業に物足りなさを感じ、今度は新宿御苑の「懐石料理 龍雲庵(りゅううんあん)」の店主、後藤紘一良(こういちろう)氏に師事することに。以来、今年4月まで38年通い続けた。
おもてなしの心
現在、熊井さんが指導するのは全6クラス100人以上。土曜クラスの「カツオ会」は男性20人が登録している。指導中は男性相手にもひるまず、ときには大声で怒鳴ることも。「料理中はけがをすることもあるから、とにかく真面目に取り組むことが大事」と熊井さん。
同クラスの代表幹事で、16年通う山尾正斌(まさよし)さんは「いつも怒鳴られている」と笑いながら「日本料理は下ごしらえに時間がかかるが、おもてなしの心を熊井先生から教わる」と感謝する。
「クラスでは日本料理の基本である、だしからしっかり取ることを指導している。30年以上、やらせてもらえることがありがたい」と熊井さん。指導中の厳しい表情とは一転し、優しくほほ笑んだ。
|
|
|
|
|
|
|
<PR>