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港南区・栄区 社会

公開日:2014.12.18

学校司書配置から1年(上)
図書館から広がる可能性

  • 児童に本を貸し出す小菅さん

 横浜市が「学校司書」を導入して1年が経過した。今年度予算では、子どもの読書意欲の向上や情報活用能力の育成を目指し、学校司書の配置に2億9900万円を計上し、市内の小・中・特別支援学校500校のうち250校に学校司書を配置している。2016年度までには、「1校1人」の学校司書配置を目指す。







 従来、学校図書館は「司書教諭」がその業務を担当してきた。だが司書教諭は担任を兼任することも多く、図書館業務に注力するのは難しい状況にあった。



 そこで、図書館の環境整備などの面で司書教諭をサポートするほか、授業支援も行う学校図書館の担当事務職員として導入されたのが「学校司書」だ。



より身近な図書館に



 「人が居なくて鍵がかかっていて、真っ暗で。子どものころから大好きな学校図書館をいつか変えたい思いがあった」。そう話すのは市立笠間小学校(栄区)で学校司書を務める小菅玲子さん(41)。



 市内の高校や県立図書館などでも司書として働いてきた経験を持つが、ボランティアとして参加した小児病棟での読み聞かせなどを通じて「子どもたちに本を届ける仕事がしたい」と昨年10月、学校司書に。現在は週5日、1日6時間ほど同校図書館に常駐し、蔵書の管理や本のレイアウトなどに取り組む。小菅さんは「子どもはちょっとした変化にもすぐ気づいてくれる。それがうれしくて、やりがいになる」と笑顔を見せ、「学校の中で教室以外に一息つける『オアシス』のような場所があっていい。それが図書館だったら素敵だなって」と思いを語る。 



 最近では、小菅さんも参加して図書館での授業も増えており、同校の後藤俊哉校長も「より子どもたちに身近な場所になり、利用頻度も高くなっている」と手応えを語る。



 本の貸出数も市全体で増加傾向にあり、学校司書導入後、平均で約1・45倍になっているという。



授業支援にも期待



 学校司書は新たに導入された制度であるがゆえ、当初は役割の不明確さを巡り学校・司書双方に戸惑いもあったという。小菅さんも教員とのコミュニケーション不足を解消するため、休み時間に職員室に赴いているほか、教科書を参考に関連書籍をリストアップして担任に渡すなど工夫している。「担任の先生の仕事は多岐に渡っていて思っていたよりずっと忙しい。縁の下でサポートできれば」



 一方で後藤校長は、「担任の『負担軽減』というだけでなく、別の視点が加われば授業も一層中身の濃いものになる。それは子どもたちの可能性を広げるもので、今や欠かせない存在」と今後の活躍にも期待を寄せる。



 市でも、学校司書と司書教諭の合同研修を実施しており、今後さらに連携を強化していく方針だ。



(続く)

 

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