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公開日:2020.08.13

港南区遺族会
戦後75年「記憶を後世に」
会員数が近年急速に減少

  • 平和祈念館の展示コーナーに立つ北見会長

 戦争により家族を亡くした人たちが中心となり戦没者の慰霊などを続ける港南区遺族会は近年、急速に会員数を減らしている。戦後75年となる今年、同会会長の北見政雄さん(79歳)は「戦中戦後の記憶を後世につなぐことが大切」と会の存続に力を注いでいる。

 港南区最戸には戦没者及び戦災死者約5万8000人の名簿が納められている神奈川県戦没者慰霊堂がある。そのすぐ近くには遺品展示コーナーやライブラリーを備える「かながわ平和祈念館」(大久保1の8の10)があるものの、「区内の人でも、存在自体知らないという人が多いようです」と北見さんは語る。

 港南区遺族会は主に戦没者の子ども世代からなり、かつて500人ほどの会員数だったが、ここ数年で急速に減少して現在は90人ほどに。会員の高齢化が課題となる中、孫世代、ひ孫世代にもイベントなどを通じて参加を呼びかけているが、難しい状況だという。

助け合いの精神を

 地元・上大岡で生まれ育った北見さんは4歳の時、フィリピンに出征した父・正次郎さん(当時31歳)が帰らぬ人となった。もともと正次郎さんは公務員だったが、民間で働く周囲の成人男性が次々と招集される中で、「どの家も男の人がいなくなる中、いたたまれなかったんだと思う」と退職したという。民間企業で働き始めるとすぐさま招集がかかった。

 残された母と弟と暮らし、また横浜空襲で家を失った親戚3世帯も北見さんの家に転がり込んで寝食を共にした。空襲で弘明寺より海側の空が赤く染まっていたのを呆然と眺めた記憶は今も鮮明に残る。

 そんな北見さんが後世に伝えたいことの1つは、助け合いの精神だという。「映画の舞台は戦場が多いが、当時の一般家庭をもっと知ってほしい。みんなが苦しい中で自分だけ良ければいいなんて人はいなかったが、それが今は失われつつある気がする」と語った。

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