日蓮宗樹源寺 副住職 日比宣仁 連載16 法話箋 〜鹿苑〜 「戒律について」
戒律(かいりつ)とは、「釈迦が定めた仏教教団の決まり」です。厳密には、戒(sīla)には自律的、律(vinaya)には他律的という意味合いがそれぞれあります。禁煙が指定されている場所だから、タバコを吸わないようにする。これは、他律的です。もし禁煙のルールを破れば、社会的な罰を受けます。一方、禁煙をしようと決めたから、禁煙場所・喫煙場所に拘(かかわ)らずタバコを吸わない。これは、自律的です。この場合、タバコを吸ってしまっても社会的な罰はない。ただ、自心の戒めを破るだけです。
秩序のために定められた決まり(律)を守ることは、社会人として求められることでしょう。一方、破っても罰を伴わない戒を自らの心にたもち、敢えてそれを守ることは、社会から要請されません。しかし、それは自らの心身を向上させます。「自分はこういう生き方をすべきなのだ」という戒を人知れず心に持つことは、善き人生を切り開く手段になり得るでしょう。
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