保土ケ谷区 コラム
公開日:2025.12.18
日蓮宗樹源寺 権住職 日比 宣仁(ヒビ センジン) 連載56
法話箋 〜鹿苑〜
「我慢」
人間関係で苦しんでいる時、その原因を考えると、意地(いじ)がその悩みの根底に横たわっている場合があります。生きていれば、自分が持つ考えと正反対の思考の持ち主と共に仕事をしなければならない時があります。そういった時に、私たちは自分の考え方で物事を進めたくなり、その相手を邪魔と思います。邪魔者に自分の信念を妨害されたくない故に、私たちは意地を張り、頑なに相手との対話を嫌い、まるで自分が被害者になったかのような心に苛まれます。自分の考えの方向性を持つことは素晴らしいことですが、意地を張ってしまうと、せっかくの信条は台無しになります。釈迦はこういった意地のことを我慢(がまん)と呼びました。現代日本語の我慢(忍耐の意味)とは異なる意味合いです。仏教での我慢は、その字の通り、我(エゴ)に執着して、慢心を起こし、驕り高ぶった状態を言うのです。人間関係で悩んでいる時、その原因は相手ではなく、自分の心にあるのかもしれません。
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