日蓮宗樹源寺 権住職 日比(ヒビ)宣仁(センジン) 連載46 法話箋 〜鹿苑〜 「さいわい」
他者を勝手に評価し、口に出して批評してしまう。そういった経験をしたことがある人は、少なくないでしょう。他者から危害を加えられたにせよ、そうでないにせよ、他者に対する悪口(あっく)(わるくち)は言わないほうがよいでしょう。悪口(あっく)は、※悪口業(あっくごう)の一つであり、悪なる業(おこない)はそのままその主体(つまり悪口を言った人)の人格形成に繋がります。人の悪口(わるぐち)ばかり言う人は、それなりの人格に留まり、人間的な成長はできなくなるのでしょう。これと関連したこととして、日蓮(一二二二〜一二八二)が『重須殿女房(おもんすどのにょうぼう)御返事(ごへんじ)』というお手紙の中で、「わざわいは口より出(い)でて身(み)をやぶる。さいわいは心より出(い)でて我(われ)をかざる」と述べていることは注目されます。他者への批判は程々にして、人に優しく、他者の立場に立って物事を考えることができる人格を目指すべきであると思います。
※悪口(あっく)の他に、人に媚びる言葉や嘘、二枚舌も悪口業に含まれる。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|