日蓮宗樹源寺 権住職 日比(ヒビ)宣仁(センジン) 連載50 法話箋 〜鹿苑〜 「古典の重要性」
学問には様々な分野があり、仏教に関連するものだけでも、文学・文献学・哲学・歴史学・言語学・民俗学・宗教学・美術芸術・文化財保存学等が挙げられます。これらの学問(ここでは仏教をはじめとする人文科学系に限る)に取り組む時、先行研究を鳥瞰(ちょうかん)することは必須のことですが、最も重要なことは古典をしっかりと丁寧に解読、あるいは分析し、考察することです。さて、古典は学問だけではなく、私達の日常生活でも大事にすべきものであると思います。「古典」は曖昧な表現ですが、何百年も様々な人々によって読まれてきた書物や、鑑賞されてきた美術品や芸術等を「古典」と呼びます。古典は長きに亙(わた)ってあらゆる境遇に身を置く人達の共感を得て来た故に現代にも受け継がれているのであり、そういった古典の中には一種の真理が含まれていると見ても良いでしょう。混迷が続く令和の時代にこそ、古典を読み、感じ、先人の叡智を授かることが必要になると考えます。
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