連載寄稿 イルカ博士の生命感動日記 【7】笑いは赤ちゃんの単純な神経反射か
昨年、生活リズムのお話をしましたが、生後3カ月の乳幼児は眠っている時間が多く、お腹がすくと目を覚まして泣き、お乳をたっぷり与えるとまどろみ眠ってしまいます。この繰り返しの期間に、すばらしい現象が見られます。それは「微笑」です。眠っている赤ちゃんをよく見ますと、柔らかい感じで微笑むのです。その笑いを崇高で仏様の微笑のようだと、表現する人もいますが、医学的には単純な不随の神経反射という筋肉の痙攣です。
この神経反射がとても可愛いので、大人たちは赤ちゃんが目を覚ましている時にそれを見たくて、あやさずにはいられないのです。以前、小児科医の小林登先生に赤ちゃんの笑いシステムとイルカの笑いとの比較をお聞きしたことがあります。神経反射の微笑は、目をさましているときにも現れるそうです。母親を招き寄せるためのサインなのか、家族の人間関係の中で意味をもっているのか不明ですが、あやす大人たちの音は、ソプラノの声(高周波)がもっともよく反応します。聴覚は視覚にくらべて発達が早いために、人声の音色(周波数)を聞き分けていることになります。あるいは、周りの音に関係しているかもしれません。
Q.この神経反射が消えたあと、本当の笑いはどのように現れるのでしょうか。また、赤ちゃんをあやすことが、音の感性・情緒の成長にどんな影響を及ぼすのでしょうか?
A.子どもが好きであやすことの多い母親の場合は、笑うことの多い赤ちゃんになりやすい。その逆の場合は無表情で笑わない幼児になりやすいという。さらに、神経反射が消えた後の成長では「あやすときの言葉掛け」が大切なことで、赤ちゃんたちはあやして声を掛けてもらうことが多いと、他人との情緒的な関係をつくりあげる能力、とくに「思いやり」のこころが芽生えるという観察記録があります。みなさんは赤ちゃんが大きくなると、食事を与えたり、オムツの交換をするなど、からだの子育てについては習熟されていると思いますが、わが子が無表情にならないよう、言葉の遅れを生じないよう、やはり「あやすときのことば掛け」を忘れないことが、本当の微笑みにつながるのではないでしょうか。私も元旦に2人の孫をあやしました。次回は音を楽しむ「音楽の子育て」について紹介します。ご質問などありましたらお寄せください。
【日本ウエルネススポーツ大学特任教授・岩重慶一
(問)【メール】iwashige@gmail.com】
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