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さがみはら南区 人物風土記

公開日:2011.03.24

就任から1年を迎える南区“初”の民間企業出身校長
岡部 佳文さん
県立上鶴間高校 校長 51歳

「社会に関心を」  鶴高一新計画



 ○…昭和52年の開校以来、変わらず受け継がれている、“茶色”の制服。「鶴高といえば、それぐらいかな」−。生徒のそんな声が気にかかった。「通常、3年かかるよ」。職員会議でも強い反対の声が飛んだ。それでも、「着ているものだけが唯一の特徴である学校ではなく、もっと誇れるものを」。トレードマークさえもいったん捨て去り、ゼロから始める必要性を感じた。公募による試験を通過、南区の公立高校初の“民間出身校長”として赴任し一年。新しい制服は来月1日、お披露目になる。



 ○…福岡県出身、大学進学を機に上京した。卒業後、有名電機メーカーへ就職。「“定時は夜10時”と言われる会社でした」。営業で得意先を走り回り、午前様は当たり前。休日の出勤も多かった。その後、更なる活躍の場を求め転職、赴任直前は大日本印刷(株)に勤務した。当時の同僚からは、「無免許校長」とからかわれているそうだ。



 ○…学生時代のほとんどを、仏の音楽家レイモン・ルフェーヴルに捧げた。レコード会社公認のファンクラブの代表を務めていたほど。「興味のないことには気が進まないが、ハマるととことん」。集めに集めた知識を基に、ライナーノーツを書くなど、レコード会社からもその存在を重宝された。数年前には、とある楽曲全集にも企画者として携わった。



 ○…子どもが通っていた小中学校のPTAに携わり、教育に関心を持つようになった。生徒らと触れ合ううちに気づいたことがある。親の仕事を尋ねると、決まって返ってくる答えは「お父さんの仕事はサラリーマン」。社会に対する興味が薄いのだ。校長試験の面接では、キャリア教育の必要性をプレゼン。学校と社会とを取り結ぶ役割を期待され、昨年4月就任となった。先月には、県内初の起企業家精神育成授業も開始。ある日、ひとりの生徒が校長室の扉をノックした。「僕、起業してみたいんです」。

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