ジャムバンド『バセルバジョン』のギタリスト 児玉峻(しゅん)さん 相模原市出身 30歳
ドブロの色気 「路上」に響かす
○…手にする「ドブロ」(リゾネーターギター)は80(・・)歳。町田の中古楽器店で一目ぼれした1930年代のもの。身にまとうのは「もらった服か借りた服」。ギター2人、打楽器2人というアコースティック・インストバンドの中心人物。電気を使わず演奏ができる編成なので、これまでビルの屋上、銭湯などもステージにしてきた。今も相模大野の路上でセッションを開く。爪弾(つまび)くドブロから生まれる音色は男らしくあり、セクシーでもある。
○…小学生の一時期を、長野県の村で過ごした。「シティボーイだったのに…」。山奥の廃校に住みこみ、2年間ほど共同生活を体験した。その住民からギターを教えてもらう。音楽にめざめた。高校生活が終わる頃、海外のジャムバンドの存在を知り、興味を抱く。大学に入学するも「プロをめざそう」と中退。「今思えば悩んでいた時期」と振り返る。
○…父親はジャズが好きで、母親もストーンズのライブを観に行くほど。姉はシンガーソングライターの児玉奈央さん。子どもの時から身近に音楽がある暮らしだった。二十歳を過ぎた頃、バーテンダーをしながら店内で定期的に行われる超絶なライブの数々を目の当たりにし刺激を受ける。あるパーティーの打ち上げで、店主から「1曲弾いて」と指示がきた。ドブロをかかげ、ブルースを奏でる。はじめて人前で、1人で演奏をした。「これで何か吹っ切れましたね」
○…ネット環境があれば、たいていの聴きたい音楽は手に入る時代だ。「『安い』『便利』ばかりでは文化がなくなっちゃう」。手づくりを大切にする。ドブロもギター工房を持つ職人のバンドメンバーに手を加えてもらった。「お金(貨幣経済)じゃなくて、物々交換の世の中だったら面白い。『こんなのつくった』ってみんなで交換して暮らしていく」。今のスタイルは少なからず長野の経験がいきている。もちろん音楽にも。好物は彼女が漬けた梅干しだそう。
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