戦後70年の節目に7月30日(木)から相模原市民ギャラリーで写真展を開催する 江成 常夫さん 中央区田名在住 78歳
声なき声 拾い続け40年
○…戦禍に巻き込まれた人々やその痕跡を撮り続けて約40年。声なき声を拾い、戦争の悲惨さを伝え記憶に留めることで、未来の平和につなげようと邁進してきた。写真展では戦後、旧満州に取り残された「戦争孤児」と、日本に駐在する米軍兵と結婚後、夫と共に海を渡った「戦争花嫁」の写真81点を展示。近年忘れられつつある戦時中の混乱を今一度明らかにし、過去に向き合う大切さを訴える。
○…写真家人生のスタートは毎日新聞の写真記者。沖縄返還、三億円事件、東京五輪など激動の昭和史を追いかけた。12年のキャリアを積んだ後、社会問題を専門に取り上げたいとの思いを強くし退社。生涯の仕事を決めるべく、写真文化の中心とされるニューヨークへ。そこで「戦争花嫁」と出会う。母国に対する思いを涙ながらに語る姿にほだされ、戦争をテーマに撮り続けることを決意した。常に念頭に置くのは「文脈を持って仕事に取り組む」姿勢。文脈とは一つのことにこだわり、筋を通すこと。撮る側にその姿勢があれば自ずと写真に真実味・説得力が生まれると信じる。
○…生まれも育ちも相模原。相模原町立田名国民学校(現田名小学校)に通っていた9歳の時、戦争を体験。米軍の艦載機がすぐそばを通り過ぎた記憶は脳裏に焼き付いている。夏休みに農家である実家の手伝いの合間に、毛針で鮎を釣ったのは懐かしい思い出だ。当時の緑溢れる風景を残そうと自宅の庭の竹林は現在も大切に受け継いでいる。
○…「写真そのものと写真家の価値を向上させたい」。第一線で活躍してきたからこそ、日本には写真文化が根付いていないと痛感する。そこで文化の裾野を広げようと2001年、写真展「フォトシティさがみはら」を設立。発展に尽力してきた。今後も更なる文化醸成のため、芸術性ではなく、時代を記録することが写真の役割だと後進に伝えることに生涯をかける所存だ。
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