埼玉県八潮市の道路陥没事故を受けた下水道管路の全国調査が、相模原市でも今月から始まる。市が管理する古く大きな下水道管路51キロを対象に、潜行目視などで行われる。4月には京都市でも水道管の漏水事故が発生しており、上下水道管路の老朽化に国を挙げての対応が進んでいる。
相模原市は事故直後の2月に重要な路線の要経過観察箇所などの緊急点検を実施。目視による地上部の点検や、マンホールから見える範囲の管路内調査を行い、「異常なし」と発表していた。
今月始まる調査は国交省が実施を発表したもの。管径2m以上かつ設置から30年以上が経過した下水道管路の内部全長を、現行基準より厳しい判定基準で調査する。
相模原市は、合流管・汚水管については自走式のテレビカメラによる調査を行い、雨水管は調査員が管路内に入る目視点検を実施する。結果は来年2月末までに国交省に報告し、腐食やたるみ、破損などの問題があれば適宜対策を取る。
調査実施にあたり、財源として6月補正予算に1億7292万円を盛り込んだ。
20年で5割耐用年超
公共施設やインフラの老朽化は全国的な社会問題になっている。相模原市内の下水道整備は1967年にJR相模原駅周辺を中心に着手された。その後、77年から99年までの間を建設のピークとして整備が進み、2023年度末時点で整備総延長は約2900Kmに及ぶ。
法定耐用年数50年を超過した下水道管きょの割合は4・54%と全国平均の7%を下回っているが、建設が特定の時期に集中しているため、今後20年間でおよそ半分が耐用年数を超えると見込まれている。市の担当者は「壊れてからの対処ではなく、計画的な予防保全に一層取り組んでいきたい」と話している。
国は対策強化
1月末に八潮市で発生した事故では、道路の陥没によりトラックが転落し、運転手の男性が死亡した。破損した下水道管路内に土砂が流れ込んだことで、道路下に空洞ができたことが原因とみられている。一時はおよそ120万人が下水道の使用自粛を求められ、大きな影響が出た。
国はこの事故を受け、2月に「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」を設置。同委員会の議論を踏まえ、6月に「国土強靱化実施中期計画」を策定する。
5月28日に同委員会が発表した提言では、下水道管路が「極めて過酷な状況に置かれたインフラ」であることが確認されたほか、地下のインフラマネジメントのあり方について再構築の方向性が示された。
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